李登輝前総統が新著発表会で「国・共経済貿易フォーラム」を批判

群策会が新著『台湾経済的迷思與出路』を発刊

 4月13日、李登輝前総統が理事長をつとめられる財団法人群策会が新著『台湾経済的迷思
與出路』の発表会を行った。その時のレポートを、本会会員で台北在住の関口勝氏より送
っていただいたのでここにご紹介したい。
 この席上、訪中する連戦国民党名誉主席が進めようとしている「両岸経済貿易フォーラ
ム」、すなわち「国共経済貿易フォーラム」に対する李登輝前総統のメッセージが発表さ
れたという。関係する新聞記事も併せて紹介してみたい。         (編集部)


群策会が新著発表会−日本の国益のためにも本土派の結束を

                             関口 勝(台北市在住)

 財団法人群策会は4月13日、台北市内のシェラトンホテルの地下2階「福庁」(福の間)
にて、『台湾経済的迷思與出路』という新書の発表を行った。

 この書は、過去、5年に亙る台湾経済不振の謎と台湾経済復興の活路を見出す方策につ
いての論文を整理し、まとめたものである。中でも、総統府国策顧問・黄天麟氏の「三通
直航その利害と衝撃」などは、タイトルを見ただけでも興味をそそられる。もちろん、李
前総統の各処で行われた座談会での挨拶文も収録されており、李氏の台湾経済への見解を
読みとることもできる。

 残念ながら李登輝前総統は、体調がすぐれず欠席し、挨拶文が司会の黄昆輝氏(群策会
秘書長)により代読された。その中で、李登輝前総統は、連戦国民党名誉主席の再訪中で
、今、話題になっている「国・共経済貿易フォーラム」を「中国胡錦濤の世界戦略と台湾
戦略に迎合するものであり、国・共両党が手を結び、経済、貿易により、台湾を併合しよ
うというゆるがせにできない挑戦である」と激しく批判し、今後、台湾は「国民生活の質
を向上させる近代内需型産業の発展を目指すべきである」と主張した。

 いずれにしても、台湾在野勢力の中国との連携を強化し、民進党政権へ揺さぶりをかけ
るという方針は、ますます強まる傾向にある。わが国の国益のためにも台湾本土派政権支
持者の結束を切に望む。


台湾・国民党 連戦名誉主席が訪中 中国、経済強化で陳総統包囲網構築へ
【4月14日付 産経新聞】

 【北京=野口東秀】台湾の最大野党、中国国民党の連戦名誉主席(前主席)が十三日、
中国共産党との共催で開かれる「第一回両岸(中台)経済貿易フォーラム」に出席するた
め訪中した。連戦氏と胡錦濤共産党総書記(国家主席)との会談も予定されている。フォ
ーラムには双方の党や企業の関係者、専門家ら約三百人が参加することになっており、中
国は台湾野党勢力との連携を進める一方、台湾経済界との結び付きを強化し、陳水扁政権
への圧力を強める方針だ。

 同フォーラムの開催は、昨年四月に行われた連戦主席(当時)と胡総書記による国共ト
ップ会談で合意した。

 連戦氏には国民党の江丙坤副主席らも同行。北京国際空港では、中国共産党台湾工作弁
公室の陳雲林主任が出迎えた。

 連戦氏は空港であいさつし、「今日、両岸の同胞はいずれも、互いに助け合うことを必
要としている」と述べ、中台関係の強化を訴えた。

 中国は今回のフォーラムを通じて、台湾との経済関係を一段と促進したい意向だが、そ
の背景には、経済的に台湾を取り込めば、「台湾世論を引き寄せられる」(専門家)との
思惑がある。中国は国民党との連携だけでなく与党・民進党にも対話を呼びかけている。
同党内の対中穏健派に働きかけることで陳総統の孤立化を進める狙いだ。



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