ぼ軌を一にしている。この間、柚原正敬氏を代表とする「台湾研究フォーラム」を事務
局長として設立し、また日台間の交流史を紹介した『台湾と日本・交流秘話』(展転社、
1996年)の共同執筆者として、台湾の中学歴史教科書『認識台湾』を盟友の蔡易達氏と
共同翻訳した『台湾を知る』(雄山閣出版、2000年)を出版している。
本書は著者の初の単著であり、これまでの言説の集大成でもある区切りの本だ。日本
で久しく「中国の一部」と信じられてきた台湾のオリジナリティについて、日本・中国
との関係から縦横に論じている。
日本にとって「台湾と提携するか中国に迎合するか」は、その気概を測るバロメータ
ーになっているという指摘に首肯する日本人は少なくないだろう。その点で、「中国政
府の台湾領有権の主張がすべてウソで塗り固められている」(P83)、「中国に賞賛さ
れる人間にはあまりロクな者がいない」(P237)、「平和主義者(親中派)こそ、中国
政府が戦後一貫して対日工作のターゲットとしてきた」(P277)など、全編にわたって
出てくる中国の本質を捉えた論及には説得力があり、それは語学留学(山西大学漢語班)
を通じて体得した中国経験に裏打ちされている。論破された中国の反応が見物だ。
台湾を「兄弟国」と見ている著者は、最終的に日本は台湾と国交を結ぶべきであり、
その上で軍事同盟を結ぶべきで、それができないなら「台湾関係法を制定し、台湾との
有事関係を規定しなければならないはずだ」と主張する。日本にとって台湾は生命線で
あり、まさに日本の命運は台湾にかかっていることを本書は明かしている。中国の言い
分を論破したい者、台湾問題に取り組んでいる者にとって必読の一書。 (編集部)
永山英樹(ながやま ひでき)
台湾研究フォーラム(台湾研究論壇)会長、日本李登輝友の会理事。
昭和 36年、埼玉県生まれ。法政大学法学部法律学科卒業。中国・山西大学漢語班修了。
台湾は我が国の生命線、運命共同体であるとの見地から、日台関係の強化と正常化、台
湾報道の正常化、台湾独立建国の支援、台湾国連加盟の支援を訴える活動を展開してい
る。共著書に『台湾と日本・交流秘話』(展転社)、『国士内田良平─その思想と行動』(展転社)、共訳書に『台湾国民中学歴史教科書・台湾を知る』(雄山閣出版)がある。
■著者 永山英樹 http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/
■書名 日本の命運は台湾にあり─軍拡中国がある東アジアで
■体裁 四六判、並製、320ページ
■定価 1,680円(税込)
■版元 まどか出版
http://www.madokabooks.com/bd/ISBN4-944235-38-0.html