る文書」を本誌で発表したが、7月3日、柯氏ら番組出演者が福地茂雄会長宛にこの抗議文
を出したことを昨日の産経新聞が伝えている。
抗議文を提出したのは、柯徳三、藍昭光、張俊彦、張黄美悦、林福泉、林陳寿美の6名
で、ここに改めて柯氏による「NHK番組『JAPAN・デビュー』に対する抗議と訂正
を求める文書」をご紹介したい。
なお、昨日の本誌で「濱崎憲一ディレクターは6月下旬、上司で「ジャパンプロジェク
ト」の河野伸洋エグゼクティブ・プロデューサーを伴ってこっそり訪台していた」と伝え
たが、河野氏ではなく、氏とともに「NHKスペシャル シリーズ JAPANデビュー・
第1回『アジアの一等国』」の制作総括をした「プロジェクトジャパン」の田辺雅泰チー
フ・プロデューサーだったことが判明した。田辺チーフ・プロデューサーがある日本語世
代の台湾人に名刺を渡していたことから、河野氏ではないことが分かった。
田辺雅泰氏といえば、真っ先にこの問題を取り上げたジャーナリストの高山正之氏が
「週刊新潮」の連載「変見自在」で、名指しで批判していた人物。高山氏は「不払いの勧
め」と題し、「番組制作者の田辺雅泰はそうした事実を避け、クリストフに倣って老人に
語らせた言葉のあちこちを切り貼りして虚構の台湾人をでっち上げた」と断ずる。それ故、
「日本人を故意に貶(おとし)めるために、その受信料をつぎ込んで嘘を拵(こしら)え
た」のだから、「こんなNHKに受信料を払う理由がどこにあるのか」と断じていた、そ
の人物である。
田辺雅泰チーフ・プロデューサーと濱崎憲一ディレクターは、柯徳三氏たちが出した抗
議文書について、福地会長に届けられる前に泣き落し戦術で取り下げを求めたようだが、
その時点ではすでに原本は日本に来ており、7月3日になって正式に福地会長宛に出された。
さて、NHKは番組出演者からの抗議に放送法にのっとってどう対応するのか、見物で
ある。 (編集部)
台湾人出演者ら、NHKに抗議文
【7月4日 産経新聞】
NHKスペシャル「シリーズ JAPANデビュー 第1回『アジアの一等国』」(4月5
日放送)が偏向している問題で、出演した柯徳三(か・とくぞう)さんら台湾人が3日、
編集の偏向、歪曲(わききょく)がうかがえる」とする抗議文を、福地茂雄・NHK会長
あてに郵送した。放送法は、放送後3ヵ月以内に、出演者などから放送局に請求があった
場合、局が調査し、真実でない場合は訂正放送するよう定めている。
NHK番組「JAPAN・デビュー」に対する抗議と訂正を求める文書
去る4月5日に放映されました「JAPANデビュー・アジアの一等国」では、台湾で
の取材で、多くの意見が出たにもかかわらずそれを公平にとりあげていなく、編集の偏向、
歪曲がうかがえます。
ことに下記の四つの点の歴史解釈については、間違いであるとして此処に抗議と訂正を
要求いたします。
1、人間動物園
これは当時の白人の優越感から生れた言葉ではあるが、バイワン族の正装した写真
を「人間動物園」と字幕つきで紹介するのは、不適切である。高士村の人々は、今でも
これを村の栄誉としており、英国へ行った村の人々は、非常に優遇されていた様子が、
1910年台湾総督府発行の「台湾日日新報」9月29日と30日付けの1面記事に詳しく記載さ
れている。彼等の踊りは後に旧制台北高等学校で毎年の記念祭でも、圧巻のショーとし
て披露されている。パイワン族に対する人権問題である。
2、日台戦争
戦争という言葉は、この場合不適切である。清国が台湾を日本に割醸して日本領台当
初は台湾における反抗は強かったが、それは戦争ではなく「武装抵抗」という表現にす
るべきである。
3、漢民族
台湾では、戦後大陸から逃げてきた中国人を除いては、自らを漢民族と思うより、台
湾人と思っている人間が圧倒的に多い。番縄で漢民族と強調することは、DNAも漢民
族とは異なる台湾人に対して恣意的な解釈を押し付けられる感を免れない。ここ二十年
間、台湾人としてのアイデンティティーが根付いてきて普及している現在、今更なぜ
「漢民族」を強調するのか疑問に感じる。
4、中国語
当時台湾の人々が使っていたのは、所謂台湾語と呼ばれている●南語、それに客家語
と、先住民族の各部族の言葉であり、決して中国語ではない。なぜ、( )までつけて
(中国語)と説明するのか不可解である。
以上の四つの点を特に、NHKに対して抗議し、訂正を求めます。
台湾台北市●●●●●段●号● 柯 徳三 (印)
2009/6/15
*文中「●南語」(びんなんご)の●は「門の中に虫」です。