柯徳三氏のNHKへ「抗議と訂正を求める文書」全文

NHKは6月17日、プロジェクトJAPANのホームページに「『アジアの“一等国”』
に関しての説明」を掲載した際、「NHKは『柯徳三さんや蒋松輝さんから抗議を受けて
いるということはありません』」と説明している。

 だが、柯徳三さんや藍昭光さんなど、NHKの取材を受けた台湾の日本語世代は、番組
内容はもちろんのこと、このNHKの対応にも怒っていた。そこで柯徳三さんたちは、ど
うやらNHKは電話などの口頭での抗議は抗議と見做していないと判断、それぞれに「N
HK番組『JAPAN・デビュー』に対する抗議と訂正を求める文書」を、署名・捺印し
て提出したことは先に伝えた通りだ。

 ここにその「NHK番組『JAPAN・デビュー』に対する抗議と訂正を求める文書」
の全文をご紹介したい。

 これでNHKは「抗議を受けているということはありません」と言い逃れることはでき
ない。出演者(著作権者)から正式に抗議を受けたら、NHKが取らなければならない行
動は「放送法」第4条にきちんと定めてある。

 なお、本文中「●南語」(びんなんご)の●は「門の中に虫」という字です。(編集部)

■NHK・プロジェクトJAPAN「『アジアの“一等国”』に関しての説明」
 http://www.nhk.or.jp/japan/pdf/asia.pdf


NHK番組「JAPAN・デビュー」に対する抗議と訂正を求める文書

 去る4月5日に放映されました「JAPANデビュー・アジアの一等国」では、台湾で
の取材で、多くの意見が出たにもかかわらずそれを公平にとりあげていなく、編集の偏向、
歪曲がうかがえます。

 ことに下記の四つの点の歴史解釈については、間違いであるとして此処に抗議と訂正を
要求いたします。

1、人間動物園
  これは当時の白人の優越感から生れた言葉ではあるが、バイワン族の正装した写真
  を「人間動物園」と字幕つきで紹介するのは、不適切である。高士村の人々は、今で
  もこれを村の栄誉としており、英国へ行った村の人々は、非常に優遇されていた様子
  が、1910年台湾総督府発行の「台湾日日新報」9月29日と30日付けの1面記事に詳しく
  記載されている。彼等の踊りは後に旧制台北高等学校で毎年の記念祭でも、圧巻のシ
  ョーとして披露されている。パイワン族に対する人権問題である。

2、日台戦争
  戦争という言葉は、この場合不適切である。清国が台湾を日本に割醸して日本領台当
  初は台湾における反抗は強かったが、それは戦争ではなく「武装抵抗」という表現に
  するべきである。

3、漢民族
  台湾では、戦後大陸から逃げてきた中国人を除いては、自らを漢民族と思うより、台
  湾人と思っている人間が圧倒的に多い。番縄で漢民族と強調することは、DNAも漢
  民族とは異なる台湾人に対して恣意的な解釈を押し付けられる感を免れない。ここ二
  十年間、台湾人としてのアイデンティティーが根付いてきて普及している現在、今更
  なぜ「漢民族」を強調するのか疑問に感じる。

4、中国語
  当時台湾の人々が使っていたのは、所謂台湾語と呼ばれている●南語、それに客家語
  と、先住民族の各部族の言葉であり、決して中国語ではない。なぜ、( )までつけ
  て(中国語)と説明するのか不可解である。

 以上の四つの点を特に、NHKに対して抗議し、訂正を求めます。

        台湾台北市●●●●●段●号●  柯 徳三 ㊞
                        2009/6/15



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