昨日、NHKがホームページに「アジアの“一等国”」の「説明・追加」を公表

どうしても日本は台湾の人々を差別し虐げる国だったと位置づけたいNHK

 NHKは6月17日、「NHKスペシャル シリーズ JAPANデビュー・第1回『アジア
の一等国』」に関する見解をホームページで公開したが、昨日になって新たに「説明・追
加」を公開した。

 これは、「NHKの取材・制作姿勢、事実関係や用語などについて……いまだに誤った
情報に基づいたご意見やご批判もあります。特に、『人間動物園』という用語、そしてパ
イワン族の方々への取材について、中には誹謗中傷、歪曲ともいえる誤った情報も流布し
てい」るからだという。そこで、「人間動物園」について追加の説明と「パイワン族の方
々への取材、インタビューについて」の新たに説明したものだ。

 ところが、すでに6月21日付で番組に出演したパイワン族の方々から「公開質問状」が
出ているにもかかわらず、一切このような抗議があったことには触れていない。

 それどころか、NHKは番組で台湾の方々への取材について、友愛グループへの「回答」
では「台湾の方々が、日本統治時代をどう受け止めていらっしゃるのか、その実態とお気
持ちを聞かせていただきたいと思いました」と書いているにもかかわらず、この「説明・
追加」では「パイワン族の人たち自身が当時どう受け止め、感じたかということは、『人
間動物園』の事実を左右するものではありません」と記述している。

 果たして当時、パイワン族の方々が「人間動物園」という名称で日英博覧会に出演して
いたのかどうかがまず問題なのに、それには直接答えず、あくまでも「人間動物園」とし
て「展示」されたのだと言い張る。

 ましてや、クスクス村のパイワン族の人々はこの日英博覧会について「美しい記憶とし
て後世に語り継がれてきたもの」(6月21日付「公開質問状」)と述べているのに、NH
Kとしては日本はパイワン族を「人間動物園」として「展示」し、台湾の人々を差別し虐
げる国だったと、どうしてもそのように位置づけたいようだ。

 また、この「説明・追加」では、「その子孫である許進貴さん(兄)と高許月さん(妹)
には、まず『父親たちパイワンの人たちが、イギリスに連れて行かれ、博覧会で見せ物に
なった』ことを説明」したとあるが、パイワン族の人々に「人間動物園」として展示した
と説明していないのもおかしなことだ。だから、パイワン族の人々には「人間動物園」と
いう言葉を使って説明していなかったことが、この説明からも判る。

 だが、果たして濱崎憲一ディレクターはこの2人の兄妹にそのような説明をしたのかど
うかがそもそも疑問なのだ。実際、日本文化チャンネル桜の取材では、取材中に博覧会の
説明はなく、また一言も「人間動物園」という内容で放送することを説明せず、彼ら兄妹
の父、すなわち日英博覧会に行った父チャバイバイ・プリャルヤン氏の当時の写真を見せ
ただけだったという。

 それにしても、すでに指摘していることだが、番組では、父のチャバイバイさんがいつ
亡くなったとも、亡くなったときにこの兄妹が何歳だったのかも明示せず「博覧会のこと
について子供達に語ることはありませんでした」とだけ説明する。そうすれば、父が子供
たちに話さなかったのは、人間動物園として展示されたことが不名誉なことだと思ってい
たからではないか、日本人に虐げられたと思っていたからではないかというような受け取
り方を視聴者がしてくれることを期してのことだろう。

 ところが、彼ら兄妹は兄弟姉妹の中でも末子だそうで、小さいころに父は亡くなってい
るそうだ。だから、父親から聞かされなかったのである。

 なお、番組では娘さんの名前を「高許月」と表示し、この「説明・追加」でも上記のよ
うに「高許月」としている。だが、先の二公開質問状でも明示しているようにお名前は
「高許月妹」だ。NHKはぐだぐだと言い訳を並べる前に、名前の間違いを早急に訂正し、
高許月妹さんにも謝罪すべきであろう。

 さらに補足すれば、この「説明・追加」では最後になって付け足しのように「6月17日
以降に、「台湾・友愛グループ」など台湾の方たちから、抗議の文書を受け取りました」
とある。だが、柯徳三氏や藍昭光氏やパイワン族の人々など、番組出演者(番組の著作権
者)から抗議の文書が届いているにもかかわらず、なぜかそれには触れず「『台湾・友愛
グループ』など台湾の方たち」という言い方で逃げていることも見逃せない。

 なぜなら、NHKは6月17日の「説明」で番組出演者である「柯徳三さんや蒋松輝さん
から抗議を受けているということはありません」と強調していたからだ。痛いポイントは
隠したがるのが人間だ。すでに柯徳三氏らからは抗議文が届いている。なぜそれを公表し
ないのか。それは、NHKにとって出演者から抗議を受けていることを隠さなければなら
ない理由があるからだろう。恐らく放送法に関係してくるからと思われる。

 いずれにしても、これまでとまったく変わらない、自己弁護に汲々とする「説明・追加」
なのである。                              (編集部)

■シリーズ・JAPANデビュー 第1回「アジアの“一等国”」に関しての説明・追加
 http://www.nhk.or.jp/japan/asia/090722.html



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