http://www.asahi.com/national/update/0922/OSK200909210098.html
台湾大地震の発生から21日でちょうど10年。現地の被災者と交流してきた阪神大震災の
ボランティア団体が今秋、日台の絆(きずな)の証しとして、作家水上勉の父が建てた築
90年の古民家の台湾への移築を完成させる。日本の木造建築などを紹介する観光施設とし
て使われる予定だ。この計画に、日台の学生や大工ら延べ5千人以上が力を合わせた。
まちづくり支援に取り組む神戸市長田区の「まち・コミュニケーション」が兵庫県香美
町にあった古民家を移築し集会所として活用していたところ、訪日した台湾の被災者から
「風格ある建物」とうらやましがられ、移築を思いついた。福井県おおい町の養蚕農家が
使っていた1915年建築の民家を譲り受け、04年夏に解体工事に着手した。
古民家の移築先は、台北県で10年4月に開園予定の平和記念公園内。整備費用の一部は
地元の行政が負担する。
今年6月から神戸大や専修大の学生、大工らが現地入りし、台湾の工務店や大学生と協
力しながら棟上げ作業やしっくい塗りなどをこなした。現在は内装工事中で、11月上旬に
完成式を開く予定だ。
解体中に見つかった棟札から、この古民家を建てた棟梁(とうりょう)は福井県出身の
水上勉の父覚治さんだったことが判明。移築後、勉の長女蕗子(ふきこ)さんが寄贈した
著書約200冊も展示される。
まち・コミュニケーション(078・578・1100)は、約1千万円の移築費用の
寄付を呼び掛けている。 (塩野浩子)
写真:台湾の大学生ボランティアに、木造建築独特の作業手順について教える日本の大工
職人=今年7月、台北県淡水鎮、「まち・コミュニケーション」提供
写真:日本の大学生や大工職人と台湾の大学生らが協力して外観の工事を終えた古民家=
今年8月、台北県淡水鎮、「まち・コミュニケーション」提供
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