て、従来の日本語と英語に加え、中国語の簡体字と繁体字、韓国語の計3種類を追加すると
決めたという。
台湾や香港は繁体字を使う。松本市のこのようなきめ細かな配慮は、台湾などの観光客
には大いに喜ばれるにちがいない。本誌で先に松山市の子規記念博物館が台湾語の音声ガ
イドを導入したことをお伝えしたが、台湾を尊重するこのような気配りを、台湾の人々は
心の底から歓迎するだろう。
本会事務局を手伝ってもらっている台湾大学日本語学科から明治大学に交換留学生とし
て来日した女学生などは「子規記念博物館にぜひ行ってみたい」と大喜びだった。
振り返ってみれば、台湾を訪れた日本人は、お菓子などの袋やお店の看板に日本語の「の」
という平仮名が入っていただけで大喜びし、台湾に親しみを覚える。日本を訪れる台湾人
もおそらく同じだろう。繁体字を見たり、台湾語が聞こえたら、日本に対する親近感は倍
増するに違いない。
簡体字を使う中国と、繁体字を使う台湾を、同じ「中国」でくくることはできない。す
べきでないと言った方が現実的だ。すでに繁体字の表示はあちこちに出始めているが、日
本国中に広まることを切に願いたい。「観光立国日本」のポイントは、意外とこんな気配
りにあるのかも知れない。
下記に、松本市の嬉しい措置を伝える「信濃毎日新聞」の記事を紹介したい。
外国人の意見ふまえ 松本の公共案内、5種類の言語表示に
【信濃毎日新聞:2011年11月1日】
http://www.shinshu-liveon.jp/www/topics/node_199327
*写真:日・英の2種類の言語表示(中)から、5種類の言語表示(上)に変更される公共
案内サイン
松本市の中心市街地で観光・公共施設などに人を誘導する「公共案内サイン」の多言語
化検討委員会は31日、市役所で開き、従来の日本語と英語に、中国語の簡体字と繁体字、
韓国語の計3種類の表示をサインに追加すると決めた。増加するアジアからの観光客に対応
する。全57基について、市は来年度予算で5種類の言語表示に変えていく方針だ。
57基のサインは中心市街地にあり、松本駅や松本城、美術館など代表的な施設の名称に
ついて日本語と英語で表示してきた。
市は外国人の視点で検討しようと、8〜9月に実際に市内を訪れた外国人観光客の協力を
得てモニタリング調査をした。松本駅から松本城周辺にかけて一部サインを試験的に5種類
の言語表示に張り替え、「文字・図の大きさや言葉が適切か」、目的地に向かうため「必
要な情報があるか」などの観点で外国人から意見を集めて検証した。
市計画課は5種類の言語表示について、調査に協力した外国人ら27人から「見やすさ、理
解しやすさ」「地図を含めた全体的なデザイン」で好評を得たことを検討委に報告。中国
語の簡体字は中国本土で、繁体字は台湾、香港で主に使われており、「どちらも省略しな
いことで『おもてなし』を演出する必要がある」と、中国語は2種類を併記することに了承
を得た。
パネル、シールを現行サインの上から貼り付けて改修する。検討委では、今後も誰もが