いる。大東亜戦争のとき、バシー海峡でアメリカの潜水艦に沈められ、日本の艦船乗員25
万人が犠牲になったと言われる。台湾の人々は打ち上げられた遺体を丁寧に葬り、犠牲者
を祀るお寺として建立したのが潮音寺だ。本会の日本李登輝学校台湾研修団でも参拝した
ことがある。
この事実を知った福井西ロータリークラブが石川県白山市在住の台湾出身歌手・寒雲さ
んも協力して恒春半島に平和祈念碑の建立を計画していることを中日新聞が伝えているの
でご紹介したい。
なお、記事には潮音寺に「土地の所有権問題が分かり、解決を待っている」とあるが、
この土地所有権をめぐる裁判は購入予定者の突然の物故により終了し、解決しているとい
う。
また、潮音寺については、『『台湾と日本・交流秘話』(展転社、1996年)が詳しい
が、現在、絶版となっている。下記のブログ「花うさぎの『世界は腹黒い』」が写真とと
もに詳細を伝えているのでご参照いただきたい。
◆衝撃!25万将兵の慰霊の寺、一日本人が全財産を投入して建立していた!
【花うさぎの「世界は腹黒い」:2009年8月5日】
http://hanausagi.iza.ne.jp/blog/entry/1161988/
台湾沖犠牲者25万人の祈念碑計画
【中日新聞:2013年1月7日】
http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20130107/CK2013010702000037.html
写真:台湾沖で25万人の将兵が命を落とし、地元の人が供養してくれたことを顕彰する碑
の建立を計画する福井西RCの藤野会長(左)と寒雲さん=福井市内で
台湾沖のバシー海峡で太平洋戦争中、米潜水艦に沈められた日本の艦船の乗員25万人の
犠牲と平和の尊さを伝えるため、福井西ロータリークラブ(RC、29人)は、海峡に面し
た恒春半島で平和祈念碑の建立を計画している。石川県白山市在住の台湾出身歌手・寒雲
さんも協力しており「1万5000もの遺体が半島に打ち上げられた。ほとんど知られておら
ず、遺族の人々に知ってもらえたら」と話している。
計画の発端は3年前、RCの藤野拓三会長らが姉妹クラブである高雄東南RCの創立30周
年記念式出席のため台湾を訪れ、この事実を知ったこと。恒春半島に連れていってもら
い、供養のため永平寺77世貫首・丹羽廉芳さんを発起人に1981(昭和56)年に完成した潮
音寺や、96年に秋田県の人が建てた慰霊碑を参拝した。
「びっくりしました。近くの土産物店の奥さんがたまに訪れる日本人参拝者を案内して
いるそうだが、知らなかった」と藤野会長。昨年、福井西RCの会長になり、国際ロータ
リーのテーマが「奉仕を通じて平和を」であり、地区ガバナーからも「平和事業をやって
ほしい」と勧められたこと、潮音寺建立に福井の永平寺が関わっていることから、高雄東
南RCに呼び掛けて「平和祈念碑」の建立を計画した。
碑は高さ1メートル、幅1・5メートルの花こう岩製。日本語と台湾語で「戦乱の中、台湾
の人たちがご遺体を収容埋葬し供養してくださいました」と紹介し「戦争のない永遠の平
和と台湾と日本との友好を祈念し、碑を建立します」と趣旨を刻む。台湾の桜も植える。
高雄東南RCの姉妹クラブ、熊本西RC、伊勢原RC(神奈川県伊勢原市)も協力す
る。
潮音寺の境内で11月に建立・除幕の予定だったが、土地の所有権問題が分かり、解決を
待っている。通訳をしてきた寒雲さんは、除幕式で海峡に向かって日本の唱歌を歌う計
画。藤野さんは「戦争のない永遠の世界平和を、戦争を知らない後世に伝えたい」と話し
ている。
(室石和夫)