「アジアの未来」における基調講演の際、尖閣諸島をめぐって「中国が勝ち取ったとして
も、国際社会における名誉や地位を失うことになる。よく考えた方がよい」と警告し、
「中国は自制的な行動をとることで、他国の疑念を打ち消すべき」と呼びかけた。
また、「慰安婦問題や侵略問題を持ち出して謝罪を要求するのはその国の特権だが、い
つまでも昔のことを持ち出していても、アジアにとってよいことがあるだろうか」と指摘
したと伝えられる。
リー・シェンロン首相はこのときの来日の際、安倍晋三総理とも会談しているが、安倍
総理はその2ヵ月後の7月26日にシンガポールを公式訪問してリー・シェンロン首相とも会
談、外務省は「南シナ海をめぐる問題に関し、両首脳は、全ての関係国が国連海洋法条約
を始めとする関連国際法に基づき主張し、問題を平和的に解決すべきとの認識で一致」し
た旨を伝えている。
この会談では、安倍総理から日本国内における憲法改正や集団的自衛権に関する議論・
検討について説明したという。集団的自衛権については「日本の安全を確保し、日米同
盟、そして地域の平和と安定に貢献していくとの観点から検討を進めていく」旨を説明し
たという。
中国の台頭とそれを脅威に感じているASEAN諸国との距離を縮めることを念頭に置
いた安倍総理の1月からの東南アジア訪問はアメリカ側にも受け入れられているようで、来
日した共和党のマケイン上院議員は「尖閣諸島に対する日本の主権は明確だ」と述べ、集
団的自衛権についても「日米同盟の強化に資すると思う」と記者会見で語った。朝日新聞
が伝えているので下記に紹介したい。
ちなみに、安倍総理の東南アジア訪問は1月のベトナム、タイ、インドネシア、 5月のミ
ャンマー、7月のマレーシア、シンガポール、フィリピンと7ヵ国となり、年内にもASE
AN10ヵ国訪問が実現しそうだ。
「中国が日本の主権侵害」 尖閣巡りマケイン米上院議員
【朝日新聞:2013年8月22日】
【編集委員・加藤洋一】来日中の米共和党の重鎮、マケイン上院議員は21日、東京都内
で記者会見し、尖閣諸島を「日本の領土だ」としたうえで「中国は、日本が尖閣諸島に対
して持っている根本的な権利を侵害している」と述べた。
◆尖閣諸島 過熱する主張
マケイン氏は「尖閣諸島に対する日本の主権は明確だ。この点は論議の対象とされるべ
きではない」と語り、日本の立場を全面的に支持する考えを示した。
同諸島をめぐる問題は「(領有権の)紛争という性格ではない」とし、中国は公船を日
本の領海に入れることなどで、日本の主権を侵害しているとの見方を示した。そのうえで
「両国の対話を通じた平和的な解決が図られることを望む。米国は喜んで手助けする」と
述べた。
集団的自衛権の行使については「日米同盟の強化に資すると思うが、最も重要なのは、
この新しいテロの時代に、日本政府が防衛を強化する能力を手にするということだ」と指
摘した。