くら・よしふみ)氏の講演「今こそ考えたい、日本と台湾の絆」に聞き入った。
小田村会長の開会の挨拶に続き、李登輝元総統からの特別メッセージが披露された。こ
こに全文をご紹介したい。
なお、第1部では、片倉氏を学生時代からご存じだったというJET日本語学校理事長で
評論家の金美齢(きん・びれい)さん、昨年12月に親友でもある田母神俊雄(たもがみ・
としお)元航空幕僚長らと訪台し、すっかり台湾が気に入られた元銚子市長で新しい歴史
教科書をつくる会副会長の岡野俊昭(おかの・としあき)氏が来賓として挨拶。
また第2部の大忘年会では、李登輝総統から台湾に招待されて以来、台湾が大好きになっ
たという「歴史通」編集長の立林昭彦(たてばやし・あきひこ)氏、台湾の桜守の王海清
さんなどを描いた『トオサンの桜』、屏東に地下ダムを造った鳥居信平を日本で初めて紹
介した『水の奇跡を呼んだ男』などでも著名なノンフィクション作家の平野久美子(ひら
の・くみこ)さんが挨拶し、蔡焜燦氏と許文龍氏に感謝状を贈呈した台湾協会理事長湾生
の根井洌(ねい・きよし)氏に乾杯の音頭を取っていただいた。
さらに、NHK「JAPANデビュー」裁判を闘って来られた弁護士の尾崎幸廣(おざ
き・ゆきひろ)氏、李登輝元総統の単行本を間もなく出版するウェッジ取締役営業部長の
吉村伸一(よしむら・しんいち)氏、日本から台湾の世界遺産登録を応援する会代表理事
の辛正仁(しん・まさひと)氏にそれぞれ関連するお話をいただいた。
恒例のお楽しみ抽選会では、チャイナエアラインやエバー航空の台湾往復チケット、台
湾高級ホテル宿泊券、李登輝元総統ご揮毫の文鎮、台湾鉄道弁当、月刊「正論」半年無料
購読券、台湾茶器、白柚、老酒などが景品として提供されていて、抽選のたびに一喜一
憂、2個入りの白柚が当たった方の中には1個をお知り合いの方に分けられる方もいて、本
当に和気あいあいの裡に閉会となった。
最後の締となる恒例の万歳三唱は、映画「台湾アイデンティティー」に出演され、東京
台湾の会や日本媽祖会でも役員をつとめる理事の呉正男(ご・まさお)氏が日台の共栄を
祈って声を限りに行い、盛会裡に終了した。
祝 辞
「日台共栄の夕べ」にお集まりの小田村四郎会長はじめ会員の皆さま、台湾の李登輝で
す。今年も恒例の「日台共栄の夕べ」を開催されるそうで、心から祝意を表します。ま
た、この一年間の皆さまの台湾に対するご支援、台日関係促進におけるご努力に敬意を表
します。
さて、本年も残りわずかとなりました。今年もいろいろありましたが、何といっても嬉
しかったのは4月に「台日漁業協定」が締結されたことです。台湾と日本の間に横たわる大
きな問題はこの尖閣諸島の漁業権だけでしたし、台湾の漁民のために早期妥結を望んでき
た私にとって、実に喜ばしいことでした。まさに歴史的快挙です。
また、日本は台湾と断交後、法的根拠を欠いたまま交流を続けています。このような現
状に対して日本李登輝友の会の皆さまが「日台関係基本法」の早期制定を発表されたこと
は深く胸に刻まれました。日本に残された課題はまさに日本版「台湾関係法」の制定で、
私も訪ねてくる日本の国会議員の方々に必ずこの件を説明し、制定を急ぐべきとお話しし
ているところです。
安倍総理は台湾について、民主、自由、平和といった基本的価値観を共有する重要なパ
ートナーと表明しております。恐らく日本の総理大臣でここまで踏み込んで表明したのは
安倍総理が初めてではないかと思います。お陰でこれまで以上に台日関係は緊密になりつ
つあり、この安倍政権でぜひ「日台関係基本法」が成立することを希望しています。
台湾と日本は兄弟のように、心の通う、仲のよい国です。今後も台日共栄の理念の下、
貴会とはさらに提携を強め、両国のため、そしてアジア全体のために努力、邁進していき
たいと考えております。
本日のご盛会と、来年における皆様のますますのご健闘をお祈りいたします。
2013年12月23日
台湾元総統 李 登 輝