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質疑応答

Q1・台湾総統選挙について動向と日本の先の参院選のような捩れ現象がおきるのでは。

A まず、台湾は総統制で、日本は議員内閣制であるという政治形態の違いを考慮する必要があります。
 総統には総統の権限があり、立法院の稟議がいらないこともあります。 1月の選挙はもともと民進党に不利に出来ています。
 行政単位に1議席が認められていますが、原住民・軍港・地方利害のある所などは国民党が有利で、総統も113議席のうち50席を目標と言っている程です。 しかし、台湾では、行政権と立法の権力が密接していません。
 また、1月の選挙次第では、5月に影響が出ると思います。 2.28もあります。台湾の国民では、「現状維持」が85%です。
 1月の選挙で、どちらかが圧倒的になれば、危機感を覚えた国民が”考える”こともあるでしょう。
 この「現状維持」という国民の希望には”どういう意味での現状維持か”には違いはあっても、票を得る以上、馬英九も考慮せざるを得ないでしょう。

Q2・日本の福田内閣誕生について

A 福田総理は”中国寄り”などと言われていますが、実はそれ程心配していません。
 何故なら、議員でも底辺をうろついている人は別ですが、きちっとしたリーダーになる人というのは、基本的に日本の国益を大切にする人だと思います。
 多少のスタイルはあるでしょうが、大きく日本の国益を損なうような人はそういう地位にはなれないものです。小泉元総理は、靖国参拝で中国と喧嘩をしたことで反中国のような印象を与えていますが、それはたまたま、靖国でそうなっただけのことで必ずしも反中国ということではありません。むしろ台湾ではなく北朝鮮と国交を結ぼうとした人です。
 台湾は、日本にとってシーレーン防衛上重要であるというだけではありません。 中国の中華思想とは「覇権主義」です。 中国の固有の領土の考え方を知っていますか?「力が続く限り」という考え方です。
 万里の長城も、あれは国境のはずでしたが、その後、力の続く限りと領土を広げました。
 その中国が、台湾を取ったらそこで満足して終わると思いますか? 次は尖閣、そして沖縄、そして日本本土へと欲を出して来るでしょう。
 台湾にとって国連加盟とは、現状を変えることではありません。
 我々でも「この土地は俺の物だ」と主張するだけでは、何かあった時に対抗出来ないから登記するのと同じように、現状・地位を確認することなのです。
 ガキ大将が「俺の物だ」と言った時の対応を考えることが必要なのだと思います。そしてまた、国連に加盟することは、国際社会に認められることでもあります。北朝鮮が朝鮮戦争の後、国連に加盟していなかったら、日本は果たして国として認めたでしょうか?国交を結ぼうとする動きも出てこなかったと思います。

Q3・台湾も尖閣諸島の領有を主張しているが、これに関しては中国と同調するのか?

A これについては、台湾の外交部は明確に3つ提示しています。
 1つは「尖閣諸島は台湾の領土である」ということ。2つめは「これに関して
中国と共同して行動はしない」ということ。3つめは「あくまでも話し合いで解
決する」ということです。
 1つめについては、まず、人が住んでいるところは「住民がどう考えているか」が重要視されます。人が住んでいないところは話し合いで協定を結ぶこととなります。古来、人が住んでいない場所というのは、線引きが曖昧であったものですし、実際現地付近の島では、自由に人々が往来している現状がある。日本でも「入会地(いりあいち)」という考え方がありますが、それと同じことです。そこに国境という新しい考え方を当てはめる作業が必要となってきます。

しかし、明確に中国との協調はしませんし、あくまでも話し合いでの解決を求めることに変わりはありません。
 一部、中国にそそのかされてやっている漁船などはありますが、台湾はそれらを一切、認めてはいません。
 また、日本と台湾の関係は、それだけにあるものでもなく、我々は他のたくさんの要素を大切に、お互いの関係を密にしていけたらと考えています。

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