2005年、日台にとって重要なことが二つありました。ひとつは2月の2プラス2(日米安保協議委員会)で、台湾海峡の軍事的警戒感に、日米共同対処が盛り込まれた。ふたつめは、台湾渡航のビザ免除。国際関係には「平等互恵」という考えがありますが、台湾が日本にビザ免除を「してから12年を経て、台湾へのビザを免除してくれました。恩を覚えてくれていたことは嬉しい。これにより、2006年には台湾から日本へ135万人、日本から台湾へ120万人が行き来しました。
台湾にある『遠見』という雑誌で「親しみを感じる・・・等」20項目のアンケートを行ったところ、それまで総合で1位はアメリカでしたが、この年から「留学したい国」以外はすべて日本が1位となった。留学に関しては、第1外国語で英語を習うことから、どうしても英語圏のアメリカが選ばれますが、それ以外、日本が1位になったことは、日本と台湾が親密となった表れといえます。
2007年には、ドライバーライセンスが相互承認となった。日本は、ドイツ・フランス・スイスの間ではすでに承認されており、台湾は4番目の承認となりました。
また、台湾では新幹線が開通し、台北−高雄間が1時間半で往来できるようになり、また、中央山脈もトンネルができ東側も行き易くなりました。これにより、台湾観光も便利になり、台北にホテルオークラ、日月潭にも同じくオークラや他のホテルの進出が決まっている。便利になった台湾はこれから、日本の地方、台湾の地方との交流が出来て来るようになる。日本にも多くの台湾人が渡航し、今年は、北海道に現時点で27万人が訪れています。
地方交流として、長野県の小学校から招待を受け台湾の文化を紹介しました。何を紹介したか、それは「指人形」台湾のシンボルは何か?でアンケートをとったところ1位、指人形 2位、玉山(新高山) 3位TAIPEI101、となりました。日本で言うなら、歌舞伎・富士山・東京タワーといったところ。指人形は実に多彩な表現がある。台湾の伝統芸能を披露してきたが、来年の対日政策は「地方文化交流年間」にしたいと思います。
70歳以上の台湾人は日本語を話せるますが、その世代が、これから減っていく。“これからの日台関係はどうなるのだろう?”という心配がありますが、私は、これに対し「45歳以下」「女性」の対話を進めたいと、考えていいます。台湾に興味のある人は男性が多い、この会場も男性が大半であるように、これからは女性にも台湾を知っていただきたいと思っています。
私は、李登輝氏の対日観は、「観念的理解」と考えています。李登輝氏は「武士道」など、とても理解していますが、では、実際に刀で人が切られるところ(武士の時代を指して)を見ているわけではありません。奥の細道も先日、一部を歩きましたが、本で学んだものです。日本にいた頃も日本中を歩いていないのが現実であることから「観念的理解」ということと考えます。対して若い世代は、インターネットを通じて情報を取り入れ、日本に“ピョイ”と来て帰る。「日本のどこかで有名なタレントが密会する」とかの話に実際にそれを実に来るくらいの感覚で日本に来る。若い世代は「体験的理解」ができているので、それほど心配はないと思っています。
台湾の話に戻りますが、1971年に国連から追い出されてから、「中華民国」で国連加盟を申請しましたができませんでした。それから「台湾」で加盟努力をしてきています。今年は、失敗しましたが来年も加盟申請はやります。国際社会のアピールにもなり、続けることが大事なのです。 来年は総統選挙があり、その際に国連加盟への国民投票をしようと国民運動が盛り上がっています。
しかし、これにアメリカは中国を刺激するという理由で反対の立場をとっています。日本は、国民投票に関して、“台湾の国内問題だから反対しない”という立場です。3月の「光華寮事件」の際、日本の長島議員(民主党)が当時の麻生大臣にこのことを質しましたが、その際の回答も「中国の言い分を理解し尊重するだけで承認しているわけではない」と言っています。(※台湾が中国の領土であると主張することに)理解し、尊重することは、幅があり、どこまで理解し尊重するかは、日本に主導権がある。日本は、日本の立場で理解し、尊重すればよいと思います。
そして、ここからは提言ですが、日本の安全を考えた時、台湾が独立していた方がよいか?中国に併合された方がよいか?どちらが日本の国益になりますか?
台湾は日本と同じように「自由・民主・人権」という共通概念を持った国です。例えば、台湾では親族の汚職によって陳水扁政権の退陣を要求するデモが3ヶ月に渡り行われ、何百万人のデモ参加者がいましたが、死者・重傷者は一人も出ていません。
パキスタン、ミャンマーのデモと比べるとわかるように、軍事クーデターもなく大きな怪我人も出ていない。ミャンマーでは1日で多数の死者が出ている。これは、台湾の民主化が如何に成熟しているか、という証です。
台湾の議会で乱闘騒ぎがたまにテレビで報道されますが(先頃、ハイヒールで頭を殴ったなんてのがあった)日本でも議長を担ぎ上げて出した、なんてのがありましたが、民主国家なら起きて当たり前のことです。では、中国はどうでしょう?2000人が一致して整然として「賛成」「反対」、それを民主国家と言えるでしょうか?あれこそが、おかしいのです。
日本には両側に対照的な国がふたつあります。ひとつは非常に親日であり、同じ民主国家である台湾、もうひとつが北朝鮮。北朝鮮は、拉致をしたり、核を開発したり、反日でもあるのに国として認めていますし、機会があれば国交を結ぼうとしています。なのに何故、台湾とは国交を結ぼうとしないのでしょう?それは中国がそうしないように圧力をかけているからです。私たちは、いじめを見つけたとき、「黙って見ているな、加担をするな、席を立って質せ」といいます。中国が拳を振り上げているのに日本が立って反対しないなら、いじめを消すことはできません。
日本はWHO、国連に台湾が加入するのに賛成するべきです。SARSや鳥インフルエンザなど、中国は情報を隠していたことを忘れてはなりません。また、台湾が、感染の危険に晒された場合は、日本にもその影響は及びます。台湾がWHOに加盟することは、日台交流が加速している今、日本のためにもなるということです。
ひとつ興味深い調査をお教えします。日本の中央調査社(内閣府所管)が行ったアンケートで
1・台湾に行ったことがある 16%
2・台湾の国連加盟に賛成か 74%
3・台湾が国民投票で国連加盟申請を測ることに賛成か 81%
4・中国が反対しても賛成するか これは賛成が減るものの63.5%
となり、これだけの人が国連加盟に賛成していることがわかります。日本が民主政治なら、これをもって賛成すべきなのがわかるでしょう。
以下、質疑応答
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