「台湾の声」編集長 林 建良(りん けんりょう)
ナチス党大会を彷彿とさせる第19回中国共産党大会が18日に幕を開けた。中国当局は各政府機関、学校、
病院そして幼稚園まで習近平の演説中継を視聴するように強制した
。どうせ聞いてもわからないからなのか、唯一免除されたのは動物園だけだった。演説の内容を聞くまでもなく、この措置からでも習近平の鋼鉄の意志が窺われる。
しかし、凄いのはそれだけではなかった。
壇上になんと重病説が噂される江沢民元主席をはじめ、
胡錦涛前主席、李鵬元首相、
朱鎔基元首相などの長老たちが全員集合したのだ。長老たちがどのような気持ちでこの演出に協力したのかは分
からないが、彼らはきっと酷く後悔しているに違いない。
習近平は、演説の前半は5年間の習政権の功績の自画自賛に費やし、後半は自分の「
新理念」を延々と吹聴していた。だが、「新中国」
を旧勢力一掃の道具として毛沢東が利用したように、「新○○」とは、敵対勢力を粛清するときによく登場する中国共産党に特有の用語である。要するに、ここで習近平が言いたかったこととは、「胡錦涛、
江沢民らの前政権の間違った路線を自分が正した」ということだ。
老体に鞭打って出席した長老たちは、自分たちを否定する演説を聞
かされるという精神的リンチを受けただけではなかった。
肉体的にも思わぬ仕打ちを受けたのである。
91才の江沢民も、88才の李鵬も、89才の朱鎔基も、3時間20分にも及ぶ演説の中、ひな壇から一歩も出ることはできなかった。
男性高齢者にとって、それは膀胱容量の限度を遥かに超える時間であった。
しかも長老たちに利尿効果のあるお茶が提供されているから猶更だ
。
習近平の鋼鉄の意志によって、長老たちも鋼鉄の膀胱を強いられているのだ。嗚呼!
—
台湾の声