【読者の声】最後の選挙−台湾人はどうみたか

「台湾の声」【読者の声】最後の選挙−台湾人はどうみたか

最後の選挙
王 紹英 (日本台湾医師連合理事) 

台湾の総統選挙前から「負けたら最後の選挙だ」の掛け声が流行った。
それは、もし蔡英文さんが敗退したら、2016年には総統選挙は行われ
ないであろう。代わりに北京から「馬総督」が指名され、「二国両制」香
港の後塵を拝して「中華民国・台湾」から「中華人民共和国の台湾」に
転げ落ちると言うことだった。要するに背水の陣の危機感を抱いて奮戦
しろという事だ。

残念ながら事前の世論調査を裏切って蔡英文さんが負けた。敗因は
色々と考えられるが、最大の敗因は大多数の台湾人がいまだ台湾国
の国民になる決心を持っていないことだと痛恨に思う。

虫のいい話に思われるが、選挙で新国家へ脱皮転進することが台湾
人によって達成出来たら歴史的で世界初の快挙になるではないか。

しかしこの負けた「最後の選挙」のあとにも「最後」の選挙は続くと確信
している。いくら馬政権が中国傾斜に走っても台湾は中国と一緒になら
ない運命を歩むしかない。天命と言ってもいいだろう。

「最後の選挙」となるシナリオとして、いくつかの可能性が考えられる。
中国解放軍が大挙して台湾海峡を越え台湾本土への上陸作戦を敢行
する。同時に中国の第五縦隊が一斉に動き出し、中央政府および各
自治体首長を殺害する。台湾は無政府状態に陥り、北京が台湾に侵
攻する。

あるいは、馬政権が北京と平和条約を結び、中国解放軍の台湾への
平和駐在を許可する。そうやって知らず知らずのうちに台湾全島を占領
する。かつて満州の張学良が行った「易旘」を真似して一夜で台湾全
島の「青天白日満地紅」を「五星旗」に変え、北京政権に忠誠を誓う。
親中国の将校が馬政権の意に沿って一気に台湾の本土派指導層、台
湾人将校および国民党党内反対派を粛清して、中華民国の独裁者に
なる。

はたまた、台湾人が選挙に愛想を尽くして武装蜂起し、国民党政権を
滅ぼし、台湾国臨時政府を樹立する。台湾人将校がクーデターを起こし、
親中国政権を倒し、本土臨時政権で軍政をしく。

こんなことが起こったら私の思う壺だと言いたい。しかし残念ながら何
れのシナリオも失敗で幕を閉じる。結局、残された道は台湾の民主化
を孤独に守りながら国家設立の目標へ進んでゆくしかない。今までと
同じ、世界で一番金持ちの政党、世界で一番下品な台湾系支那人[註] と世界で一番横暴な北京政権に向かって迂回作戦を展開していくしか
ないような気がする。

しかし、いつかは台湾系支那人に「最後の選挙だ」と悲鳴をあげさせた
いと内心は思っている。

===
[註]「台湾系支那人」は中国化された台湾人を指している。在台湾支那
人(本物の中国人)が少数でありながら、大手を振って台湾人に指図で
きるのは、中国化された台湾人が彼らの手先を喜んで務めているから
ではないか。いわゆる「藍営」の連中は、ほとんど台湾訛りの北京語を
操っている台湾人です。中国国民党の中枢以外の党員は台湾人では
ないか。中国化された台湾人がいなければ、少数の在台湾支那人は
無力です。在台湾支那人よりも台湾系支那人のほうが問題ではない
か。揶揄と嫌味を込めて「台湾系支那人」を造語した。


投稿日

カテゴリー:

投稿者: