【李登輝】迷える日本の若者に送る「十の箴言」(二)

【李登輝】迷える日本の若者に送る「十の箴言」(二)

 不屈のリーダー李登輝が迷える日本の若者に送る「10の箴言」

「サピオ」2010年1月27日号より転載

【箴言二】大器晩成を目指せ

       「台湾の声」編集長 林建良(りん けんりょう) 

 できるだけ早く出世することが普通の人間の願望だが、スケールの大きい人間なら、良い教育や訓練以上に時間との熟成した要素が不可欠になる。

 李登輝氏は早咲きの政治家ではなかった。61歳で蒋経国に副総統を任命された彼には、当時政治力がまったくなかった。お飾りの傀儡と見られる中で彼は、独裁者蒋経国の言動をつぶさに観察しながら、持て余す時間を使い、中国問題、そして軍事をはじめ、電子学、生物学、材料学など、それまで疎かった分野での勉強を熱心に行った。専門分野である農業や経済学では、専門家たちを交えた討論会を定期的に開いた。副総統の四年間では李登輝氏は「蒋経国学校」の良き生徒だった。

 彼は権力を追求することなく自己教育に心がけ、知識への探索は怠ることなかった。失敗経験や苦悩こそが成長の糧になる。時間をかけてこうした糧を熟成させることは大器になる必要条件なのだ。


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