【寄稿】尖閣諸島から見た三国志

【寄稿】尖閣諸島から見た三国志

        日本台湾医師連合 理事 王紹英

尖閣諸島の「領土」問題から日本、中華人民共和国、中華民国、台湾の反応を見ると、それぞれの民族性が多彩に現れてとっても面白くて興味深い。

日本は、国際法に則って領土に宣言した。くそ真面目と言えるほどに芸がない。
中華人民共和国は、海底資源が発表された時点、捏造した奇想天外の「歴史的な事実」を根拠として「固有の領土」にした。
中華民国は、こっそりと地籍に載せ、「一寸も譲れない領土」にした。
台湾はどう反応するのかは、台湾国が出来てからの話だが、李登輝先生が歴史と国際法に基づいて何回も明言したように、法理に沿って日本の領土と認めると思われる。

大体、台湾人は、中国人が豊富に持っている歴史捏造に必要な文才も、天才ペテン師の知能も、世を冠する破廉恥も、土匪並みの強盗根性も、異端を抹殺する情熱も、女々しいヒステリー的な群集心理も欠けていると思われる。台湾系中国人が幾ら頑張っても、本家本元の中国人の足元にも及ばない。

台湾人には、幸い法治を尊べ精神が若干残されてるお陰で中国人の策の乗らずに平静さを保つ事ができる。台湾人に近代化に不可欠な法を尊ぶ精神を植え付けたのは、伝説になった明治人であった。蛇足だが、今の昭和人の政治家と進歩的な文化人とは全く関係ないことを一言付け加えたくなる。

嘗ての「保釣運動」の旗手であった中華民国の馬英九総統が、「一寸も譲れない領土だ」と叫びながらも、日本に強く当たれないのは、彼の家来に多くの台湾人がいるからだ。中華意識の結晶のような神経の持ち主が、北京政権と共闘したい気持ちは痛くなるほど分かる。台湾人を「保釣運動」の馬前卒に駆り出したくても、無駄と悟ったに違いない。

中華意識に半世紀も洗脳されても、中国人と共闘しなかったのは、奇跡ではなく、台湾人の血に流れている中国人と違っている民族性と今だ健在の法治の精神だと確信せざるを得ないのだ。

尖閣諸島から台湾と中国を考えてると、両者はやはりこんなに違うのかと改めて感歎したくなる。


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