− 朱習会見についての台湾基督長老教会声明
朱立倫が新北市長の身分で中国を訪問し、2015年5月4日に中国共産党中央委員会総書記・習近平と会見した。これは1949年に中国国民党が中国共産党によって中国を追放されて以来、両党の指導者の4度目の会見である。私たちは朱立倫が新北市長の身分で訪中しながら、中国国民党主席の身分で中国共産党と「国共会見」を行うという政治的な不正操作を譴責し、同時に、朱習2人の会見内容について失望を表明するものである。朱立倫は会見で「(台湾海峡の)両岸は同じく一つの中国に属す」と述べた。帰台後に、「両岸は同じく一つの中国に属す」というのは「中華民国」に属すことを指していると表明はしているが、大陸委員会主任委員・夏立言は、朱立倫の言い方が「外部から、両岸が一つの中華人民共和国に属すという誤解を受けかねない」としている。習近平もまた「318ひまわり学生運動」を経た台湾人民の主権独立を求める民意を顧みることなく、台湾と中国の問題を、国共両党の問題として扱った。この2人の会見は、なんら新しい意義を持つものではなかった。
台湾基督長老教会は1971年の「国是声明」以来、台湾の前途の発展を心に留め、台湾が、主権が独立し、民主と自由を持ち、人権を尊重する正常な国家と成ることができるよう願っている。朱習会見における2つの党の最高指導者の言論は台湾人民を実に深く傷つけるものである。したがって、台湾基督長老教会は再度、中国国民党と中国共産党に対し、歴史の事実と時代の潮流に向き合うよう、次のように呼びかけるものである:
1.台湾の主権は中国に属さない
中国は絶えず、台湾と大陸が、主権と領土が分割できない「一つの中国」に属していると表明するとともに、さまざまな国際的な場面において、さまざまな手段を用いて台湾が国際的な活動に参与する空間を圧迫している。私たちはこれについて遺憾を表明するのみならず、国共両党に対してはっきりと次のことを表明する:台湾の主権は中国に属さない。第二次世界大戦後、1951年のサンフランシスコ平和条約、1952年の「日華平和条約」(台北条約とも呼ばれる)において、日本が台湾・澎湖の主権を放棄したことに言及があるのみで、台湾・澎湖の主権が誰に帰属するのかについては触れられていない。「民族自決」という基本的な価値観の下にあって、国際社会は台湾人民が自らの前途を決定する権利を尊重すべきである。
2.台湾の前途は台湾の全住民によって決定されるべきである。
台湾の未来がどのように進むべきかについては、台湾人民全体の決定を尊重すべきであり、国共両党が勝手に取引したり、あるいは、いかなる国家であれその決定に干渉してよいものではない。台湾人民は過去5、60年にわたる民主・自由および主権の追求の過程において、一歩一歩、中国と異なる政治体制を形成し、異なる経験と価値観を擁するに至った。もし、国共両党が台湾人民の利益を蹂躙して、党の利益を優先させるのであれば、台湾人民は行動をもって、主権の独立を守り、民主・人権の価値を堅持する決心を表明するであろう。「サービス貿易協定への反対」こそが最も良い例である。
あまたの先達の奮闘を経て、基本的人権、民主制度、および国家主権への自覚と堅持はすでに台湾人民の心の中に深く根を下ろし、台湾の社会においてその実践に努めている。私たちは、中国国民党が事実を見極め、幻想の中国に囚われて、ひたすら中国へ傾斜することが、もはやこれ以上ないように、そして台湾にアイデンティティーを持って、台湾を中心に据え、台湾人民のために最大の利益を追求するよう期待するものである。
「わたしの家においては人を欺く者を座に着かせず、偽って語る者をわたしの目の前に立たせません。」詩篇101篇7節
台湾基督長老教会第60期
総会議長 鄭文仁
総幹事 林芳仲
2015年5月12日
(台湾の声編集部訳)
2015.5.26 12:00