【司法を利用する報復】李登輝元総統の突然の起訴
日本李登輝友の会メールマガジン「日台共栄」より転載
李登輝元総統の突然の起訴について黄昭堂先生からメッセージ
「国民党が司法を利用して仕掛けて来たのだろう。心配する必要はない」
本日昼、台湾の最高法院検察署(最高検)が李登輝元総統と「台湾総合研究院」創設者
の劉泰英氏を国家機密費約780万ドル(約6億3千万円)を横領したとして、公有財物横領の
罪で起訴したというニュースが駆け巡った。
会員からも「心配です」というメールや電話が相次いだ。インターネットで流れたニュ
ースを読む限りでは、いくら新しい証拠が出てきたからといって、なぜ今になっての起訴
なのかは不明だ。
ただ、国民党政権下ではなにがあるか分からないし、何が起こってもおかしくない。台
湾の司法は政治の延長だとも言われる。恐らくは総統選挙・立法委員選挙をにらんでの起
訴だったのではないかと漠然と考えていた。
そんなとき、李元総統と親しい黄昭堂先生(台湾独立建国聯盟主席、昭和大学名誉教授)
から「動揺しているといけないと思って」と電話をいただいた。
黄先生は「新しい証拠というのは何か分からないが、この機密費流用の件はかなり前に
裁判で無罪になっている。先に李登輝先生が今度の総統選挙について『棄馬保台』と明言
されたので、国民党が司法を利用して仕掛けて来たのだろう。心配する必要はない」との
ことだった。
確かに、李元総統「台湾が直面する問題の解決は、2012年の総統選挙にかかっている」、
そのためには「馬を乗り捨てて台湾を守ることが急務」(月刊「WiLL」2月号)と明言され
ている。そこで、総統選挙に向け機先を制して李元総統を牽制したのかもしれない。
李元総統はまだ蔡英文・民進党主席支持を明確に表明しているわけではないが、「棄馬
保台」と明言した以上、支持表明は時間の問題であり、表明すれば台湾国内はもとより、
日本での影響力も大きい。
なお、本日午後、李元総統側は台湾大学の校友会館において、顧立雄・弁護が記者会見
している。顧弁護士は「李氏は5月31日に検察から質問を受けたが、起訴できるほどの十分
な証拠はないと話した。また同氏は『検察は起訴を言い渡す前に、李氏に弁論の機会を与
えなかった。被告の権利は完全に無視された』と言う」(ウォール・ストリート・ジャー
ナル )
下記に起訴を伝える記事を紹介したい。
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李登輝元総統を起訴=公金横領罪で検察
【時事通信:2011年6月30日13:19】
【台北時事】台湾の最高検は30日、李登輝元総統を公金横領とマネーロンダリング(資金
洗浄)の罪で起訴したと発表した。李元総統が起訴されるのは初めて。
最高検によると、李元総統は1997年から2000年に退任するまでの任期中に、情報機関の
国家安全局が管理する裏帳簿から約780万米ドル(約6億2700万円)を私的に流用し、シン
クタンク「台湾総合研究院」の開設、運営資金に充てたほか、資金洗浄により一部を着服
した疑い。
李登輝氏らを公金横領で起訴 台湾当局
【産経新聞:2011年6月30日12:31】
【台北=吉村剛史】台湾の最高法院検察署(最高検)の特別偵査組(特偵組=特捜部)は
30日午前、元総統の李登輝氏(89)と、その側近1人が、国家機密費約780万ドル(約6億3
千万円)を横領したとして、2人を公有財物横領の罪で起訴したと発表した。
起訴された側近は、李氏が名誉理事長を務めるシンクタンク「台湾総合研究院」の創設
者の劉泰英氏(75)。
横領されたのは外交案件のための機密費で、起訴状によると、大部分は1993年に設立さ
れた台湾総合研究院の設立費用に流用され、一部は同シンクタンクへの寄付金となり、李
氏周辺の企業家を通じたマネーロンダリングも行われたという。
この件では、台北地検が2003年、国家安全局の元会計長を起訴していたが、法廷では1、
2審ともに無罪で判決が確定。その後、発足した特偵組で継続して捜査を続け、昨年になっ
て新たな証拠を発見したという。
これを受けて、李氏側では弁護士が午後に記者会見を開く予定。