【AC論説】台湾関係法の呪縛

【AC論説】台湾関係法の呪縛
【AC論説】台湾関係法の呪縛 

                        アンディ・チャン

 今年は台湾関係法の成立から35周年目である。1978年にジミー・カーターが国会を通さず一方的
に(Unilaterally)中国と国交を開始すると発表し、台湾は存在しなくなった(There is no more
Taiwan)と言ったため、国会は慌てて台湾関係法(Taiwan Relations Act: TRA)を制定(1979
年4月)し、1979年1月1日発効とした。この法律により米台関係が持続し、台湾の安全保障をする
に至ったのである。

 台湾関係法(TRA)の要点は三つある。(1)米国は中華民国と断交したが、台湾統治当局を
タイワンと呼び、経済、外交関係を続ける。(2)タイワンの主権、領土などの関係について現状
維持を保障し、台湾に危害が及ぶ時は米国が阻止する。安全保障のため台湾に武器を提供する。
(3)台湾問題は平和解決すべきである。

 この三つの条件で現状維持を35年続けてきたのは、A:中国の台湾併呑阻止、B:台湾独立に反
対、C:台湾防衛に武器提供、ということであった。しかし35年が経過して中国が強大になり、台
湾人民の独立意識が高まって国民党政権が「統治当局」を維持していくことにも疑問が出てきた。

 TRAを変更することは難しい。クリントンは中国訪問のあと中台関係を変える言動があったが
国会が阻止した。また、中国は馬英九と共に経済侵略で平和統一をする意図がある。台湾人は反統
一、反中国で、台湾意識が高まっている。

 TRAの修正は不可避である。中国の尖閣や南シナ海における覇権進出を防止するには第一防衛
線の中央にある台湾が最重要である。中国の進出を止める拠点は台湾である。台湾が中国に統一さ
れればアジアの平和は総崩れとなる。

 米国は「TRAの呪縛」にあって現状を変えることが出来ない。台湾人は独立願望が強いが米国
はTRAで反対している。中国の覇権進出を抑えるには台湾が必要だが米国は台湾に軍事基地を設
置できない。

●曖昧な台湾統治当局と正名制憲

 アメリカが中華民国と断交したあと、台湾と経済外交などの関係を維持するため、中華民国を
「台湾統治当局(The Governing Authority in Taiwan )」と呼んで外交関係を続けた。2000年の総
統選挙で陳水扁が当選して台湾人の総統が選出されると、アメリカは「四不一没有」の条件を陳総
統に押し付けた。つまり、台湾統治当局は中華民国で、国名変更をさせない、公民投票もやらな
い、などである。

 陳総統は第二回目の当選のあと、公民投票をやると言い出してアメリカは陳総統をトラブルメー
カーと呼ぶまでになった。アメリカは台湾独立や国名変更をすれば中国が武力行使をするかも知れ
ないと心配したのである。

 だが最近のヒマワリ革命や今回の市町村選挙で台湾意識が高揚し、台湾と中国は二つの違う国と
いう観念がアジア人の共通意識であることを無視するわけにいかない。

 今回の九合一選挙では国民党の敗退が顕著となり、台湾人民は中国と違うと主張しているので、
2016年には台湾人が総統になる可能性もある。2012年の選挙ではアメリカのダグラス・パールが非
公式に台湾を訪問して馬英九を支持した。台湾人はアメリカの選挙介入に強い怒りを発した。2016
年の選挙でアメリカが再び介入するのは難しいが、可能性はある。

 台湾人は選挙で政権を取り、国名変更と憲法改正、つまり正名制憲を行うつもりである。中国は
強硬に反対するだろうが、アメリカはこれまでのような介入は出来ないだろう。アメリカはアジア
回帰を唱えて中国を抑えているが、台湾人の独立意識を抑えるのは矛盾で逆効果である。

●現状維持は継続できない

 アメリカはTRAで現状維持をしてきたが、35年のあいだに中国は強大になり、馬英九は統一路
線を推進し、台湾人民は独立意識が高まっている。台湾のほかにも中国の覇権進出は明らかで、尖
閣諸島を防空識別圏に設定し、南シナ海の島々に建設を行っている。このような変化を無視して現
状維持を続けるのはアメリカに不利である。

 アメリカが台湾に現状維持を要求するより台湾当局と協定を結び、台湾に海軍基地と空軍基地を
設置するほうが中国を牽制する良策である。もちろん中国はこれに大反対するが、台湾を戦略的防
衛圏に組み込むことが最良の選択である。このような変化を可能にするにはTRA改定で呪縛を解
くべきである。

●武器提供と安全確保

 台湾人はTRAとはアメリカの国内法で、台湾の安全を守り、武器の提供を明記していると思っ
ているが、リチャード・ブッシュ元AIT長官によるとそうでもない。武器の選択はアメリカが決
める。安全保障にしてもどこまでやるかはアメリカが決める。

 アメリカは提供した武器がすぐに中国側に渡ることに大きな懸念を抱いている。例えばアメリカ
の提供したF15戦闘機が3機も中国側に逃亡したこともあった。ラファイエット事件ではフランス
から買った軍艦の武器一切を中国側に渡したため、フランスのTAVITACと呼ぶ監視システムが中国
のものとなった。台湾側がTAVITACを使えば情報はすべて中国側に知れるのでシステムが使えなく
なった。中国人は信用できない。

 これらの事件のあと、米国はイージス・システムを台湾に売却することを拒み、台湾の4隻の
イージス艦は租借と言う形で米国が操作し、イージス艦のマストには米国の旗を掲げている。

 台湾側は潜水艦の売却を要求しているがアメリカは潜水艦の機密が中国側に漏洩することを恐れ
て許可しない。

●TRAの改定と中華民国

 TRAは中華民国を温存して現状を維持し、台湾独立に反対する法律であった。このため中華民
国が経済合作で中国に接近してもアメリカは反対できない。腐敗した中華民国を温存して台湾独立
を抑えれば台湾という戦略的基地を使用できない。

 35年前の中国は脅威ではなかった。35年前の台湾は戦力があった。しかし35年後の現在では中国
が強大となり、台湾の戦力は形骸化して防衛力は殆どなく、米国がTRAに従って台湾を防衛するの
は難しくなった。

 これを改善するには米国が台湾人の政権を支持し、台湾を東亜防衛権の一環とし、台湾の防衛力
を増強すべきである。在台中国人が中国側に寝返ることを防ぐべきである。アメリカは台湾に台湾
人政権が出来てこそ東亜の平和が達成できると知るべきである。

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