【黄天麟】トランプ政権の誕生で東アジアの一極構造が変化するか?

【黄天麟】トランプ政権の誕生で東アジアの一極構造が変化するか?
【黄 天麟】トランプ政権の誕生で東アジアの一極構造が変化するか?

日本李登輝友の会メールマガジン「日台共栄」より転載

                      台日文化経済協会会長、総統府国策顧問 黄 天麟

 米国の大統領選挙でトランプ氏が当選し、民主党の長期政権に終止符が打たれ、オバマ政権が
行ってきたアジア政策も見直されることになりました。台頭する集権国家中国に直面したオバマ政
権はアジア回帰の囲い込み政策を採ってきましたが、習近平の強気な姿勢を受け、明らかに弱腰に
なり、アジアインフラ銀行、南シナ海の紛争、北朝鮮核問題等で相次いで敗れました。

 では、中国が推進している「一帯一路」戦略は何故スムースに進行しているのか、今その要と
なっている経済力を見てみましょう。

 昨年の中国の輸出額は2兆2749億ドルと世界第一位で、日本の6249億ドルを遥かに超えており、
また米国の1兆5049億ドルをも上回っています。更には、米国が8030億ドルの貿易赤字を抱えてい
るのに対し、中国は5930億ドルの貿易黒字を記録し、依然として世界の工場であることから、トラ
ンプ氏は選挙期間中、中国は「世界で唯一にして最大の為替操作国である(The single greatest
currency manipulator that’s ever been on this planet)」と批判しました。

 トランプ氏の話は正に中国の要害を突き止めている。事実上、中国の成功は、1980年には1ドル
1.5人民元であったのが、1995年には1ドル8.5元にまで元安が進み、中国は極端に低い賃金と設備
投資コスト等の不公平競争条件で以って、世界の工場となった結果であり、これは米国・日本・台
湾等の経済成長や就業の機会を犠牲にすることで得られた成果でもある。

 米国が経済戦略を見直さず、「グローバル自由化」の推進を続ければ、中国は「専制政治」「為
替」、「市場」の三大優勢の下、2030年には世界一の経済体になり、米国にとって最大なる脅威に
なることは火を見るよりも明らかです。トランプ氏はこれをはっきりと理解しているため、節制の
ないグローバル化経済体制に反対する他、大統領就任後には人民元高を要求するか、懲罰的に関税
を課すものと推測され、米中の貿易戦争は不可避になると考えられます。

 トランプ氏は日本や台湾にも、米国に対する貿易黒字を削減するよう要求するでしょう。ここで
日本が死守すべきことは円高の絶対阻止であります。

 日本はトランプ氏に対し、円は1985年の1ドル260円から、1ドルl14円(2016年12月時点)まで高
騰したため、26年にわたって日本経済が失速した過去の事実をよく説明し、中国が人民元を過小評
価し、毎年5千億ドルの貿易黒字を捻出して世界経済の極端的な不均衡を作り上げていることが今
のグローバル経済の問題であることをはっきり伝えるべきです。参考までですが、日本は昨年も貿
易赤字となっています。

 台湾の立場から見ても、アベノミクスの成功と日本の強い経済は東アジアの平和の礎であり、米
国もこれを楽観視すべきことでしょう。

 トランプ氏の強力な指導で中国に中国のみに有利な貿易政策を転換させて、世界経済の均衡を取
り戻し、そして中国の「チャイナドリーム」、すなわち東アジアの一極構造が阻止されることを期
待したいものです。

                     【台日文化経済協会通信:2016年12月「冬期号」】

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