NHK「JAPANデビュー」問題に関する声明 日本李登輝友の会

昨日、日本李登輝友の会の小田村四郎会長は石井公一郎(元ブリジストン自転車会長)、
岡崎久彦(岡崎研究所理事長)、加瀬英明(外交評論家)、中西輝政(京都大学大学院教
授)、田久保忠衛(外交評論家)の5人の全副会長との連名で、「NHK『JAPANデ
ビュー』問題に関する声明」を発表し、今後の方針を表明した。

 これは「声明」にもあるように、これまで福地茂雄会長に対して「抗議声明」を手交し、
番組検証に資する「公開討論会」の開催を要請したものの、いずれも「内容は偏向してお
らず、事実関係にも間違いがないと強弁するのみの」回答に接し、真摯に番組を省みるこ
とのない不誠実な姿勢が明らかになったからだ。また、「明らかなウソを織り交ぜて回答
してきた事実は看過し難い」からでもある。

 さらに、番組内容には取材対象者からさえ疑問と批判の声が挙がり、日本文化チャンネ
ル桜の検証取材などでも明らかなように、NHKの取材や編集のあり方が放送法に抵触す
る可能性を否定できない事態となっている。

 そこで、日本李登輝友の会は今後の方針として、放送法でNHK放送の受信は契約によ
る強制加入と定めていることに対して「自由契約」への改正を求め、また法的手段を視野
に、考え得るあらゆる方法でこの問題の解決に邁進して行くことを表明した。

 この方針は、NHKが当該番組について訂正あるいは謝罪放送などの措置を取るまで貫
く所存である。日本の「生命線」である台湾との豊かな交流を続けていこうとする皆様に
ご支持ければ幸いである。

                      日本李登輝友の会事務局長 柚原 正敬


NHK「JAPANデビュー」問題に関する声明

 本会は、去る四月五日にNHKが放送した「NHKスペシャル シリーズ JAPAN
デビュー 第一回 アジアの!)一等国!)」という番組の内容につき「日本が一方的に台湾
人を弾圧したとするような史観で番組を制作することは、公共放送として許されるべきで
はない」として、福地茂雄会長宛に抗議声明を手交し、また番組内容を検証すべく公開討
論会の開催を要請した。

 だが、福地会長に代わる当該番組責任者の河野伸洋エグゼクティブ・プロデューサーか
らの回答は、自己弁護に汲々とし、しかも内容は偏向しておらず、事実関係にも間違いが
ないと強弁するのみの、真摯に番組を省みることのない不誠実な内容だった。

 その上、「視聴者からも、事実を初めて知り、そのことを踏まえて関係を築いていくこ
との大切さを記した意見が多数寄せられ」「番組の反響の中には、台湾の方々の証言に感
銘を受け、日本と台湾との絆を考える契機になったというものも少なくありません」と、
多くの視聴者の支持を以て番組内容の正当性を担保する証としていた。

 しかし、それならば「なぜNHKは私が話したプラスの面を一つも流さなかったのか」
と、柯徳三氏をはじめとする台湾の日本語世代などの取材対象者から疑問と批判の声が挙
がるのか。また、この番組を見た多くの識者が事実を歪曲した一面的な内容であったと指
摘しているのか。一般の視聴者から本会に寄せられた感想にも、支持する声は一つとして
なかった。

 さらに、NHK広報局が産経新聞に明かしたところによれば、NHKには四月月末まで
に二千五百件を超える声が寄せられ、その「多くが『一方的だ』という意見」だったとい
う。この場合の「一方的」とは偏向の謂であり、多くが批判的意見を寄せていたことに他
ならない。つまり、NHKは回答で批判的意見の方が多かったにもかかわらず、それを隠
し、いかにも多数が支持していたように偽装していたことになる。これで、NHKが寄っ
て立つ正当性の基盤はもろくも崩れた。いかにも誠実に答えているような文面を装いなが
ら、このような明らかなウソを織り交ぜて回答してきた事実は看過し難い。

 そこで、本会は、放送法第三条に「報道は事実をまげないですること」「意見が対立し
ている問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」と定めてい
るにもかかわらず、日本が一方的に台湾人を弾圧したとするような史観で当該番組を制作
したことは公共放送として許されるべきではないことは勿論であり、放送法に抵触しかね
ないことを改めて表明する。それとともに、公共放送にあるまじき欺瞞的回答を寄せたこ
とに鑑み、今後、次の方針を以てこの問題に臨むことを声明する。

一、放送法第三十二条に「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、
 協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」とあり、NHK放送の受
 信は契約による強制加入と定めている。だが、NHKが当該番組のような偏向番組を制
 作し、大多数の視聴者の意見を汲み取らないことに鑑み、「自由契約」とするよう放送
 法の改正を求めて行く。

一、NHKが当該番組について訂正あるいは謝罪放送などの措置をとらない場合、取材対
 象者等の協力を得て、NHKに対する法的手段を視野に、国民集会や合法的デモ活動な
 ど、考え得るあらゆる方法でこの問題の解決に邁進して行く。

 平成二十一年五月八日

                           日本李登輝友の会
                              会 長 小田村 四郎
                              副会長 石井 公一郎
                                  岡崎  久彦
                                  加瀬  英明
                                  田久保 忠衛
                                  中西  輝政



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