頼幸媛・大陸委員会主任委員が台湾団結連盟の辞任通告で離党

本年4月28日、対中関係を担う大陸委員会の主任委員(大臣に相当)に台湾団結聯盟
(黄昆輝主席)所属の前立法委員である頼幸媛女史の起用が発表され、誰しも驚いた。
「サプライズ人事」だった。

 頼幸媛女史の起用に当たって、馬英九氏は「事前に李登輝氏から支持を取り付けた」
と表明していたが、李元総統は対中政策について「両岸の貿易経済は国際ルールに則っ
て往来すればよい。但し、政治的な立場としては、必ず台湾の国家主権を堅持しなけれ
ばならず、これを譲ってはならない。また、両岸交流時において、防疫、金融安定、治
安等の問題はすべて政府が処理、解決しなければならない」と述べていた。

 ところが、対中関係は江丙坤氏が理事長の海峡交流基金会がこれまでどおり中国の海
峡両岸関係協会を窓口として進められ、関係改善を大義とした中国への急傾斜が続いて
いる。頼幸媛女史が主導する政府の大陸委員会はブレーキ役どころか、追随するばかり
の5ヶ月だった印象が強い。李元総統の「二国論」を否定した馬英九総統への対応も不
明である。

 台湾団結連盟の辞職勧告も已むを得ない措置であろう。       (編集部)


台連が頼幸媛・陸委会主委に辞任要求、頼氏は離党
【10月14日 メルマガ「台湾の声」】

 台湾団結連盟(台連)は10月13日、すでに5ヶ月間の観察期間を経て、馬英九政権の
中国傾斜政策および大陸委員会主任委員の役割が容認できないとして、台連党籍の頼幸
媛・行政院大陸委員会主任委員に対して、3日以内に大陸委員会主任委員を辞任しなけ
れば党籍を剥奪すると最後通告した。

 これに対し、頼主任委員は同日午後に台連を離党することを発表し、大陸委員会主任
委員の公務に専念する意向を示した。

 頼氏は台連を離党後、当面どの政党にも属さず、「『中道左派』路線を堅持して行動
で台湾の人々の利益を守る」としているが、そもそも馬英九政権自体が『中道左派』路
線ではないうえ、当初馬政権の対中傾斜のブレーキ役として期待されて入閣した頼氏が、
なぜ馬政権の対中傾斜に異論を唱えず手先となって閣僚のポストにしがみつくのか、台
連の支持者から失望の声があがっていた。


陸委会の頼幸媛主任委員、台湾団結連盟を離党
【10月15日 Radio Taiwan International】

 中華民国政府で対中国大陸政策を担当する行政院大陸委員会の頼幸媛・主任委員が
13日夜、自身の所属する政党・台湾団結連盟を離党し、公務にまい進すると宣言した。
台湾団結連盟は李登輝・元総統を精神的指導者と仰いでいる。与党・国民党による馬英
九政権において頼幸媛・女史は異色の存在だった。

 中国大陸の対台湾窓口機関・海峡両岸関係協会の陳雲林・会長の訪台が10月末から11
月初旬に予定されているが、台湾団結聯盟では13日、頼・主任委員が台湾団結聯盟の党
員資格を持ったまま陳雲林氏に対応する事は受け入れられないとして、頼・主任委員に
対し3日以内の辞職を要求、さもなくば党籍を剥奪するとしていた。

 頼・主任委員は、台湾団結聯盟が野党として政府を監督しようとする事は理解できる
としつつも、自分は閣僚としてすべき事をしなければならず、台湾団結聯盟から離れ、
国家と人民のためにいっそう公務に専念すると述べた。頼・主任委員は、大陸委員会主
任委員に就任して以来4ヶ月、台湾海峡両岸の交流を開放していく中で、常に台湾の利
益を守り、マイナスの影響と損害を和らげるよう努力してきたとし、台湾団結連盟が辞
任を求める決議は不可解だとしている。頼・主任委員はまた、今後はいかなる政党にも
属さず、中道左派の路線をとり、行動をもって台湾人民の利益を護っていくと話してい
る。なお、頼・主任委員は離党を決心してから李登輝・元総統とも連絡を取り、事情を
説明、李登輝・元総統の許しを得たと述べている。


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