金田秀昭氏が日本記者クラブの会見で「中国の最近の軍事力向上は脅威的」と指摘

安全保障問題の第一人者で元海上自衛隊護衛艦隊司令官(海将)の金田秀昭(かねだひであき)
岡崎研究所理事は去る9月30日、内幸町の日本記者クラブにおいて「北朝鮮の核とミサイル」と題
し、北朝鮮のミサイル開発や中国の軍事技術の進展、これに備える日本の防衛政策について会見し
た。

 この会見の中で「台湾の対岸には短距離弾道ミサイルが千何百発も存在する。一部は沖縄に向
き、BF21 は150発ぐらいあり嘉手納基地も到達範囲となる」とも指摘したという。会見要旨を
「Record China」が報じているのでご紹介したい。

 なお、日本記者クラブは、本日午前中は2020年東京五輪への取り組みなどについて井上康生・リ
オ五輪日本柔道男子監督、午後はアメリカをテーマとして会田弘継・青山学院大学教授、明日は金
田氏と同様にシリーズで行っている「北朝鮮の核とミサイル」をテーマに倉田秀也・防衛大学校教
授など、さまざまなテーマを掲げて専門家を招いた会見を開いているが、10月7日には映画「湾生
回家」の試写会も行うなど、話題となっているテーマも盛り込んでいる。

 ただし、日本記者クラブ主催の会合には誰でも参加できるわけではなく「会員または加盟社の記
者」のみの参加となっている。


中国の弾道・巡航ミサイル、質量ともに大幅拡充=長距離ステルス戦略爆撃機も初めて保有―元自衛隊海将が明かす
【Record China:2016年10月5日】

 2016年10月5日、元海上自衛隊海将、元護衛艦隊司令官の金田秀昭・岡崎研究所理事が、北朝鮮
のミサイル開発、中国の軍事技術の進展や日本の防衛政策について、このほど日本記者クラブで講
演した。「中国の最近の軍事力向上は脅威的だ」と強調。弾道・巡航ミサイルが質量ともに増強さ
れつつあるほか、長距離ステルス戦略爆撃機も初めて保有するに至った、と明かした。発言要旨は
次の通り。

 短期的な脅威としては、瀬戸際外交を背景とした核実験、ミサイル発射など北朝鮮の行動が際
立っている。まずノドンを日本に向かって1993年に発射。日本海西部に落ち死者も出した。98年に
はテポドン2号を発射。かつては発射前に周辺国に通告していたが最近通告しなくなった。2012年
には失敗したが、今年1月に水爆実験を実施。中長射程のミサイルを続けて発射した。

 日本は防空ミサイル総合防衛構想を実現しなければならない。弾道ミサイル迎撃には、イージス
艦とパックス3という2段構えできちんと対応するが、打ち損じもあり得る。

 日本にとって短中期的な脅威は中国であり、最近覇権的な構想が目立つ。弾道・巡航ミサイル、
航空機潜水艦などの近代化が進展、一般防衛装備も増強されている。

 今年米国防省リポートによると、中国の弾道・巡航ミサイルが質量ともに飛躍的に拡充され、宇
宙空間における軍事力も向上している。長距離ステルス戦略爆撃機は、しばらく持てないと思われ
ていたが既に保有している。近代化されたH18、H6という航空機を持ち、ミサイルを撃つこともで
きる。

 中国の弾道・巡航ミサイルは質量ともに圧倒的で、比較にならないほど大規模だ。台湾の対岸に
は短距離弾道ミサイルが千何百発も存在する。一部は沖縄に向き、BF21 は150発ぐらいあり嘉手納
基地も到達範囲となる。2013年の防衛大綱には、中国の脅威への対抗策がかなり具体的に書かれて
いる。日米同盟を堅持し、「接近阻止領域圏」を設け、日米で対応すべきである。(八牧浩行)


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