デンティティー」が東京・東中野の「ポレポレ東中野」で公開され、全国ロードショウーが開始さ
れた。
映画「台湾アイデンティティー」に登場したのは日本語世代の6人。
台湾少年工として神奈川県の高座海軍工廠で働き、挺身隊員だった妻を連れて戦後台湾に戻って
小学校教員を務めた黄茂己さん。
日本兵として終戦を迎えたインドネシアに残り、同志とともにインドネシア独立運動を戦った宮
原永治さん。
航空通信士として北朝鮮で敗戦を迎え、苛酷なシベリア抑留を体験して日本へ戻り、日本人女性
と結婚した本会理事の呉正男さん。
台湾人の父と日本人の母をもち、台湾独立派の日本語冊子を翻訳しようとして反乱罪で逮捕さ
れ、緑島に8年間収監された張幹男さん。
そして、エリートの父親を蒋介石の白色テロで処刑され、自身も長年にわたって執拗な尋問を受
け続けた台湾原住民族、ツオウ族の高菊花さんだ。高菊花さんの叔父で、海軍志願兵となった鄭茂
李さんも登場した。
その高菊花さんが去る2月20日に亡くなったという。片倉佳史氏のメルマガ「片倉佳史の台湾便
り」で知った。謹んでご冥福をお祈りするとともに哀悼の意を表し、映画「台湾アイデンティティー」
で紹介されたプロフィールを掲載したい。
高菊花:(日本名:矢多喜久子/ツオウ族名:パイツ・ヤタウヨガナ)
1932年(昭和7年)、阿里山のふもと達邦(タッパン)で生まれる。ツオウ族のリーダーだった高
一生(日本名:矢多一生、ツオウ族名:ウオン・ヤタウヨガナ)の長女。戦前は日本人と同じ小学
校に通い、6年生のときに敗戦。戦後は師範学校に学び、米国留学準備中に父が逮捕、処刑され
る。母と9人の兄弟姉妹の生活を支えるため歌手となるも、国民党による尋問が続いた。1971年
(昭和46年)、自首証を提出し、17年ぶりにほぼ自由の身となる。
◆映画「台湾アイデンティティー」DVD
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/0uhrwefal5za
【片倉佳史の台湾便り:2016年3月26日(第102号)】
http://katakura.net/
2月20日、嘉義県在住の高菊花さんが他界されました。阿里山ツォウ族のエリートであり、国民
党による白色テロの犠牲者でもあったウオング・ヤタウヨガナ(日本名・矢多一生、漢名・高一
生)の娘さんです。
私はご縁をいただき、何度かお話をうかがう機会をいただきました。白色テロ、そして、国民党
独裁政権時代と、とてもつらい日々を過ごしてきたにもかかわらず、いつも力のある表情を見せて
くれていました。
私は「キクさん」と呼ばせていただいていましたが、もう一度、ゆっくりお会いしたかったで
す。合掌。