領の草案を公表した。中央通信社は「草案についてはインターネット上で11月10日まで意見を募る
ほか、9月3日からは台湾全土22県市で公聴会が開かれる」と伝えている。
新学習指導要領では、歴史においては台湾主体の歴史観を重視し、中国史の分量を減らすという
方向にあり、これに対して中国国民党は「歴史をねじ曲げ、中華民国を消滅させようとしている」
と反発しているという。下記に共同通信の記事をご紹介したい。
20年ほど前の日本でも起こった教科書問題、そして歴史認識問題。それまでの歴史観は自国を貶
めようとする自虐史観や東京裁判史観とされ、国民の間から日本の歴史に誇りを持とうとする声が
澎湃として起こり、国会議員も立ち上がった。
台湾で台湾人アイデンティティが高まっているのは、まさに台湾を台湾として直視し、台湾に誇
りを持とうとする動きに他ならない。けっして中華民国ではない。
李登輝政権時代の1997年、『認識台湾』(地理篇・歴史篇・社会篇)から緒に就いた台湾の歴史
認識を是正する動きは、陳水扁、馬英九の両政権では進まなかったものの、蔡英文政権で再び動き
始めた。中国史観から脱却し台湾史観が確立されることを期待したい。
台湾、中国史を削減へ 学習指導要領、野党の国民党反発
【共同通信:2017年7月31日】
台湾の与党、民主進歩党(民進党)の蔡英文政権が2019年から採用される小中高校向け教科書の
新学習指導要領づくりを始めた。歴史では台湾主体の歴史観を重視し、中国史の分量を減らす方向
だが、野党の国民党などは「脱中国化」「独立」の動きだと強く反発している。歴史認識を巡る与
野党対立が先鋭化しそうだ。
台湾では対中融和的な国民党の馬英九前政権が14年に「中国史観」を強めた学習指導要領に改
定。高校生らが15年夏に教育部(教育省)で座り込みの抗議行動をして、蔡政権は昨年5月、発足2
日目にこの学習指導要領を廃止した。
政府は今年7月初めに指導要領草案を公表した。9月から公聴会を開いて議論する。
台湾大学の歴史学者によると、高校の歴史は台湾史、中国史、世界史の三つに分かれているが、
草案では中国史について分量を3分の1減らし、東南アジア史の一環としての理解が強調される。