昨年(2018年)12月の調査・発表に続き、6月10日に発表した最新の意識調査の結果は下記のとおりだった(カッコ内は2018年の調査)。台湾人意識は前回より2.4ポイント伸び、台湾人でもあり中国人意識が1.7ポイント下がり、中国人意識は0.1ポイント下がっただけでほぼ横ばいだった。
・台湾人:56.9%(54.5%)・中国人:3.6%(3.7%)・台湾人でもあり中国人:36.5%(38.2%)
李登輝氏が総統だった1992年には「台湾人:17.6%、中国人:25.5%、両方:46.4%」で、民進党の陳水扁総統時代の2005年に「台湾人:45.0%、中国人:7.2%、両方:43.4%」と初めて台湾人意識が台湾人でもあり中国人意識を上回ったものの、2006年「台湾人:44.2 %、中国人:6.3%、両方:44.9%」、2007年「台湾人:43.7%、中国人:6.2%、両方:44.7%」と台湾人でもあり中国人意識に逆転されている。
台湾人意識が台湾人でもあり中国人意識を完全に上回るのは、中国国民党の馬英九政権が始まった2008年からで「台湾人:48.4%、中国人:4.5%、両方:43.1%」となって以降だ。中国と統一しようと考えていた馬英九政権下で逆に台湾人意識が高揚しているのは面白い現象で、中国的な圧力がかかると警戒して反発する傾向が看て取とれる。
中央通信社は「同センターは、香港で起こった大規模デモと中国の習近平氏が台湾統一の方針を示した年初の談話が割合の上昇に影響した可能性があるとの見方を示した」と伝えている。
◆臺灣民衆臺灣人/中國人認同趨勢分[イ布](1992年06月〜2019年06月)【7月10日】 https://esc.nccu.edu.tw/course/news.php?Sn=166
—————————————————————————————–自分は「台湾人」割合、5年ぶりに上昇 56.9%=政治大調査【中央通信社:2019年7月11日】
(台北 11日 中央社)政治大選挙研究センターが10日発表した最新の意識調査結果で、自身を「台湾人」だと思う人の割合は56.9%に上昇し、5年ぶりに減少に歯止めがかかった。同センターは、香港で起こった大規模デモと中国の習近平氏が台湾統一の方針を示した年初の談話が割合の上昇に影響した可能性があるとの見方を示した。
調査は台湾地区(離島の金門、馬祖を除く)に居住する20歳以上の男女を対象に実施。電話を通じて行い、自分は「台湾人」であるか、「中国人」であるか、または「両方」であるかを尋ねた。今回の調査では7380人から有効回答を得た。同センターは1992年から半年または1年おきに行われた調査結果をまとめ、統計を公表している。
統計によれば、自分を「台湾人」だと考える人の割合は1992年には17.6%だったのが、その後はほぼ右肩上がりに上昇し、2005年には初めて「両方」の割合を上回った。2014年に過去最高の60.6%に達したのをピークに4年連続で減少し、18年には54.5%にまで落ち込んでいた。一方で「両方」だと答えた人は14年に過去最低の32.5%を記録して以降、15年には上昇に転じ、18年は38.2%になった。19年は36.5%とやや減少した。
同センターの蔡佳泓主任は取材に対し、自身を「台湾人」だと思う人の割合の上昇には外的要素が大きく関係しているとし、今後どのように変化していくかは予測がつきにくいと述べた。
(葉素萍/編集:名切千絵)