日帰り出国について、機密保持などの観点から却下すると発表した。
この件に関し、台湾の台湾国際放送は「大陸委員会の張小月・主任委員は13日、立法院での答弁
で、馬英九氏は前総統であり、一般人と身分が異なることに加え、『行き先が特殊でデリケート
だ』と述べた」と伝えている。
下記にそのニュースを紹介するが、馬氏自身も却下された理由をよく分かっていたようで、主催
者である香港のアジア出版者協会からビデオ録画での講演を要請され応諾したという。どうやらこ
の香港出国は蔡英文政権のスタート直後に仕掛けた馬英九氏の「ワナ」だった臭いが漂う。少しで
もほころびが出ればと目論んだのかもしれない。
それにしても、張小月・大陸委員会主任委員(大臣に相当)は、無党籍とはいえ、浙江省出身の
いわゆる外省人で、馬英九総統の下で駐イギリス代表や北米事務協調委員会主任委員をつとめたベ
テランのキャリア外交官。
蔡英文総統は、外交部長(外務大臣に相当)にも、馬英九政権下で北米事務協調委員会主任委員
や駐オーストラリア代表をつとめていた李大維氏を起用している。李氏は李登輝政権時代には新聞
局局長をつとめ、陳水扁政権下では駐米代表をつとめるなど、やはりベテランのキャリア外交官だ
が、れっきとした中国国民党員だ。
なんとも絶妙な人事ではないだろうか。政治的判断を要求される行政院長や国家安全会議秘書長
などには腹心の側近を配置し、外交関係には経験豊富で職務に精通したベテランのキャリア外交官
を配置したようだ。
陸委会:馬・前総統の身分と香港は敏感
【台湾国際放送:2016年6月13日】
馬英九・前総統の香港訪問を却下した政府が、身分と地域がデリケートだと説明している。馬英
九・前総統は先ごろ、今月15日に香港で講演することを総統府に申請したが、総統府は12日になっ
てこれに同意しないとことに決めた。
馬英九・前総統のオフィスは声明を発表、大変遺憾であり、台湾の自由民主のイメージを損なう
決定だと批判した。また、野党・国民党も、先ごろ服役中ながら病気治療のため刑務所外での生活
が認められている陳水扁・元総統が、支持者の集まりに赴き支持者と対面したことを政府が認めた
のと比べると、政府は異なる基準を使い分けていると非難した。
行政院大陸委員会の張小月・主任委員は13日、立法院での答弁で、馬英九氏は前総統であり、一
般人と身分が異なることに加え、「行き先が特殊でデリケートだ」と述べ、総統府は総合的に考慮
して不許可を決定したと説明した。
国民党の立法委員が、香港は「高度にデリケートな場所」なのかどうか問いただしたのに対し、
張・主任委員は答えず、「場所は当然考慮する点の一つだ。しかしそれが全てではない。総統府は
総合的に考慮して4つの理由で決定した」と話した。
総統府は12日、馬英九氏は総統を退任して1カ月も経っておらず、機密を守る必要があること、
機密についてはさらに時間をかけて精査して確認せねばならないこと、香港は安全面で非常に敏感
な地域であること、国家安全局と香港当局は過去に協力した実績がないことの4つを理由に馬・前
総統の香港訪問に同意しなかった。
馬・前総統の香港訪問が不可能になったことで、馬・前総統を招いていたアジア出版者協会は
「失望した」とする一方、ビデオ録画での講演を要請、馬英九・前総統もこれに同意したと言う。