空爆の拠点としたシャイラト空軍基地へ59発の巡航ミサイル「トマホーク」を撃ち込んで空軍基地
をほぼ壊滅させ、世界を驚かせた。
フロリダ州パームビーチの別荘「マール・ア・ラーゴ」での夕食会の席で、トランプ大統領から
この米軍によるシリアへの初の直接軍事行動となったミサイル攻撃を知らされた中国の習近平・国
家主席は、「『子供が殺害されている時にそうした対応は必要だ』と述べ、『理解』を示した」と
いう。
時事通信が「中国首脳が他国への軍事力行使を容認する発言を行うのは極めて異例だ」と報じて
いるので下記に紹介するが、そもそも中国は、シリア問題は「政治的手段で解決するべき」とし
て、国連ではロシアとともにアサド政権への制裁決議で拒否権を発動してきたのだから、これこそ
前言を翻す180度の転換で、まさしく「異例」と言ってよい。
このシリア攻撃に対する米国内の評価について、産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久
氏は9日付の「JBpress」において、共和党上院議員のマルコ・ルビオ、ジョン・マケイン、リンゼ
イ・グラハムといった実力者が「オバマ前政権とは異なり、アサド政権の無法に対して断固たる軍
事行動をとったことは賞賛されるべき」と表明し、ポール・ライアン下院議長も「適切であり、正
統な行動だ」と評価していると伝えている。
また、民主党側も、ヒラリー・クリントンでさえ「アサド大統領の長年の残虐行為に対して、
もっと早くこの種の軍事行動をとるべきだった」と述べ、暗にオバマ政権を非難して賛意を表明し
たという。上院の民主党院内総務のチャック・シューマー議員や下院の民主党院内総務のナンシー・
ペロシ議員も、それぞれ「今回の攻撃は正しい」「順当な対応だ」という声明を発表したと伝えて
いる。
古森氏は「全体としては、民主、共和両党からの圧倒的な支持が目立つ。就任以来、トランプ大
統領が実施したさまざまな政策や措置の中で、今回のシリア空軍基地攻撃は最も多くの支持を集め
る結果となったようだ」と総括している。
なお、米中首脳会談でトランプ大統領は東シナ海・南シナ海問題がテーマになったとき「国際規
範を順守することの重要性を指摘」したと報じられている。このシリア攻撃によってトランプ大統
領はアメリカ単独でも行うという「決断」を見せつける結果となり、習近平政権への最大の牽制と
なったことは言うまでもない。
トランプ大統領はすでに台湾へ過去を上回る武器売却を表明している。習近平政権が東シナ海・
南シナ海で「国際規範を順守する」かどうかの次のポイントは、台湾への武器売却となりそうだ。
中国主席、異例の軍事力行使容認=シリア攻撃に「理解」
【時事通信:2017年4月8日】
【パームビーチ時事】ティラーソン米国務長官は7日、中国の習近平国家主席がトランプ大統領
との首脳会談の席でシリア・アサド政権への軍事攻撃について知らされた際、「子供が殺害されて
いる時にそうした対応は必要だ」と述べ、「理解」を示したと明らかにした。中国首脳が他国への
軍事力行使を容認する発言を行うのは極めて異例だ。
トランプ氏は6日夜に行われた夕食会の終盤で習氏に対し、シリアへの攻撃を実施したことを伝
達。アサド政権が化学兵器で女性や子供を殺害したことへの対抗措置であるとの理由を説明し、発
射した巡航ミサイルの数も伝えた。習氏はトランプ氏が情報を提供したことに感謝の意を述べたと
いう。