10月3日、「プロジェクト2049研究所」の主催により、台湾から頼怡忠氏、日本から日本国際問題研究所の小谷哲男主任研究員などを招き、日米台の安全保障連携の緊密化を討議するシンポジウムが開かれたという。
米国側からは日台が直接やり取りできる場や仕組みが生まれるようにすべきではないかとの提案があり、台湾からも新たな対話のメカニズムを立ち上げ、定期的に戦略対話を行う必要性について提案されたという。しかし、日本からはこのような積極的な提案はなかったようだ。
—————————————————————————————–台日米の専門家、今後の安全保障連携を話し合う 米ワシントンで会議【中央通信社:2019年10月4日】http://japan.cna.com.tw/news/apol/201910040004.aspx
(ワシントン中央社)台湾、日本、米国の学者が米日台の安全保障連携の今後について意見を交わす会議が3日、米ワシントンで開かれた。米学者は、米台の安保当局のハイレベル会議を常態化させ、それに日本を参加させるよう呼び掛けた。
米台商業協会のハモンドチャンバース会長は基調講演で、台湾の李大維・国家安全会議(国安会)秘書長が今年5月、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)=当時=と米国で会談したことに触れ、米台は重要なパートナーとして同様の会議を常態的に開くべきだと言及。会議には日本からも安全保障当局職員、または少なくともベテランの防衛当局者を招請するべきだとの意見を示した。台米の安全保障部門の高官が面会するのは1979年の断交以来初めてだった。
ハモンドチャンバース会長は続けて、米日台が軍事面でよりよい交流を行えるよう、米国はプラットフォームを提供、拡大させるべきだと指摘。日本が台湾とのやり取りを拡大させるには「政治的勇気」が必要だと日本の立場に理解を示しながらも、日米同盟がプラットフォームを提供することで日台がよりよい意思疎通に向けて前進し、最終的には日台が直接やり取りできる場や仕組みが生まれればと述べた。
台湾のシンクタンク、遠景基金会の頼怡忠執行長は、米日台の対話はトップダウン式で行われるべきだとし、新たな対話のメカニズムを立ち上げ、定期的に戦略対話を行う必要性を訴えた。日米間の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)あるいは次官級協議に台湾を組み込む必要性にも言及した。
日本の政策シンクタンク、日本国際問題研究所の小谷哲男主任研究員は、人民解放軍が台湾付近で実施している軍事活動は、日本にとって安全保障上の大きな懸念だとする一方で、日本が中国との関係改善を試みる際、台湾との安全保障連携は敏感な問題になると指摘。日本政府内部の認識として、「両岸(台湾と中国)関係が良好であってこそ日台の安全保障連携を促進できる」との見方があることを強調した。
会議は米シンクタンク「プロジェクト2049研究所」が主催した。
(徐薇テイ、江今葉/編集:名切千絵)