先に、昨年10月30日〜11月3日に行われた第1回台湾李登輝学校研修団の『感
想文集』が刊行されたことをお伝えしましたが、一般の方からもお申し込みが結
構あり、いささか驚いています。
やはり、李登輝前総統の特別講義「台日関係と台湾制憲運動について」の内容
も掲載し、李登輝前総統との質疑応答の内容もすべて掲載していますし、これ1
冊丸ごと、台湾の現状を理解するためのガイドブックとなっている感があります
ので、それでお申し込みいただいているのかと思います。
この『感想文集』には49名の方が感想を寄せていますが、ここで皆様のご参考
になると思われる拓殖大学大学院生の杉山美也子さんのものをご紹介いたします。
また、残部にまだ余裕がありますので、再度、お申込み要領をご案内いたしま
す。ご希望の方には実費でお頒ちいたします。日本李登輝友の会内にある台湾李
登輝学校研修団事務局までお申し込みください。代金は後払いです。
■第1回台湾李登輝学校研修団『感想文集』(B5判、並製、88ページ)
■会員価格 1,000円(送料:160円)
■一般価格 1,500円(送料:160円)
■お申し込み先 台湾李登輝学校研修団事務局
E-mail ritouki-japan@jeans.ocn.ne.jp FAX 03-5211-8810
第1回台湾李登輝学校研修団『感想文集』お申し込み書
1、ご氏名
2、会員 一般(いずれかに○)
3、電話
4、ご住所 〒
5、注文数 冊
6、郵便局 銀行(いずれかに○)
第一期生の幸せと責任
東京都 杉山美也子
台湾での李登輝学校研修を終えて、卒業証書をいただき、帰国した私は、直後
に九州・福岡県で講演会の講師としてお招きいただいた。
当初、主催者側から依頼されていた講演題目は「嘉南大[土川]について−八
田與一技師にみる台湾土地改良と水利事業」であったが、急遽、「戒厳令下の台
湾−民主化への道のり」に変更して欲しいとの要望があった。まだ、研究途中の
題目なので、不安ではあったが、日本李登輝学校卒業第一期生としての責任を果
たさねばならないという信念の下、この題目でお引き受けすることにした。
台湾でそうそうたる講師の皆様、生活をサポートしてくださった群策会の皆様
から学ばせていただいたことを、自己満足や自分一人占めして終わらせるのでは
なく、我々、日本李登輝学校卒業生には、教えをいただいたことを世の中の平和
と安定や幸せのためにお返ししていくことこそが、李登輝前総統はじめ、講師の
皆様、群策会の皆様へのご恩返しであり、日本李登輝学校卒業第一期生の幸せと
責任を果たすべく我々の仕事であると思う。
講演会の「戒厳令下の台湾|民主化への道のり」では、まず二〇〇四年の台湾
の状況を説明した。二月二十八日の「手索手」のキャンペーンの企画から成功ま
でのこと、三月十九日の銃撃事件をめぐること、翌日の総統選挙、五月二十日に
いたるまでの様々なこと、そして、何故、現在、「制憲運動」や「国号変更」が
議論されているのかということを、台湾のことをまったく知らない人にもわかり
やすく、難しい言葉を使わないで、説明した。
現在の様々な動きは、今日、突然に起こったことではない。原因があるから、
このような動きがあるのであって、したがって、私は終戦後から現在に至るまで
の台湾史を振り返って講演をした。とりわけ、二二八事件、白色テロを中心に話
をした。これについては、私の修士論文の題目であり、今年春からずっと調査し
ている未完のものであるが、図書館で読んだ本の知識だけでなく、何度も何度も
台湾に渡って、当時の受難者の生き残りの方々、すなわち歴史の生き証人に、北
は台北から南は高雄まで聞き取り調査をしたことや、台湾の大学の教授の方々に
も教えをいただいたり、台湾の大学院生との意見交換などの話も織り交ぜて、話
をした。
この講演の際には、アンケート調査を行なったが、結果九九%の人が何故「制
憲運動」や「国号変更」しなければならないのか、過去を振り返れば、そこに答
えがあるということを理解してくださった。そして、それらのことは日本と無関
係でないことも理解していただけた。
しかし、残りの一%も方は、残念ながら理解していただけなかった。その方は
台湾人(本省人)でありながら、蒋介石に実力を認められ、花蓮県知事にまでな
った人で、蒋介石・経国親子の影響力がなくなった台湾では生活しづらくなり、
日本の九州で医師をしていたという方である。彼は「あなた(=杉山)の話して
いることは嘘ばかり」と言って、「いかに蒋介石が偉大で立派な人物であったか
勉強してきなさい」と、その方手作りの資料までくださった。
日本は民主主義国家であるので、私はその方を否定する気はない。民主主義な
のだから、いろいろな考えの人がいて、いいのだ。蒋介石を礼賛するからといっ
て、その人の意見を無視したり、存在を否定しては、民間における政治弾圧と同
じである。逆に、その人しか知り得ないような蒋介石の貴重な真実の資料もある
かもしれない。
しかし、そのおじいさんも、蒋介石国民党政権に利用されるだけ利用されて、
利用価値がなくなったら捨てられたにもかかわらず、終世、蒋介石を尊敬・敬愛
しているとは、この人も時代に翻弄された被害者の一人なのである。
台湾人を騙し、国共内戦の最前線へ兵士として駆り出したり、二二八事件や白
色テロによって、無辜の多くの人たちの命や自由を奪い、現在でも多くの傷跡を
台湾に残している国民党とは何と罪深い存在であるのか。
蒋経国政権末期ごろから台湾民主化の萌芽の時代がやってきて、李登輝総統の
時代に民主化の基礎がしっかりと確立されたからこそ、他の国でみられるような
政府転覆のためのクーデターなどなしに、無血で自由・民主の台湾になったので
ある。
外国人である私がその点に注目して、三十七歳という年齢で自分の生活の様々
なことを犠牲にして、大学院で台湾研究をするには、目的がある。世界中には民
主化できていなくて、一般民衆が飢えで苦しんだり、政治弾圧で虐殺や拷問にか
けられたり、内戦が続いている多くの国がある。台湾は幾多の苦難を乗り越えて
、李登輝総統をリーダーとして、国内外、政治家、活動家、企業家、民間人、学
者などが命がけで無血の民主主義国家を作り上げた。このような例は世界中でも
稀な例である。だからこそ、「台湾」という民主国をまだ民主化できていない国
の規範としてもらいたいという気持ちで、外国人である私の目から、より客観的
に研究をして、他の多くの国々に知ってもらいたいのである。日台の関係だけで
ない。東アジアなどという狭い地域の関係だけでない。無血で民主化を為し遂げ
た台湾には世界中に「民主国家の規範」として、注目してもらいたいのである。
今年十一月から台湾テレビでは「台湾百合」という白色テロ受難のドラマを放
送している。七月に白色テロ受難者の聞き取り調査をした方の弟さんが、偶然に
も、俳優として、無辜の政治犯の役柄で出演されている。
台北の二二八紀念館には受難者の方々の写真が展示してあるドーム型の一室が
あり、そこには、受難者の写真と向き合うように造花の百合の花が手向けられて
いる。ご自身も二二八事件の受難者であり、弟さんを白色テロで殺害されたボラ
ンティア説明員の粛錦文先生のお話によれば、「百合というのは、台湾のどこの
土地にも自生している清らかな台湾人の心を象徴する花」とのことだった。
なるほど、李筱峰教授がお書きになった『台湾史一〇〇大事件(戦後編)』で
も、一九九〇年に台北の中正紀念堂広場で起こった「三月学生運動」でも百合の
花の大きなモチーフの下、民主化を訴えている写真がある。そうだ! 台湾が本
当の意味でのさらに高度な民主独立国として、「新しい憲法」を作り、「国号を
変更」すれば、勿論、国旗、国家も変わるだろう。国花も「梅」ではなく、「百
合」になるかもしれない。
私は台湾関係の講演会の講師として招かれたときには、最後に緑色のリボンで
結んだ百合の花を手に持って、講演を聴きに来てくださった皆さんと一緒に現在
の民主国・台湾ができるまでに血涙を流し、命を落としたすべての人たちの御霊
に祈りを捧げてもらうようにしている。
国民党による拉致で国共内戦に駆り出されたり、二二八事件、白色テロなどで
人生を翻弄された人たちの御霊に誓いたい。絶対に、このようなことは繰り返し
てはならない。絶対に、国家暴力を許してはならない。絶対に、忘れてはならな
い。命を落としてでもつらぬいた受難者の皆さんの崇高な理念は、李登輝前総統
が命がけのお力で、果たしてくださった。しかし、本当の意味の民主国家・台湾
をつくるには、あともう一歩の力が必要なのである。
この時代に日本に生まれ、日本李登輝学校卒業第一期生として、学べたのは、
偶然のことではない。卒業証書をいただいたそれぞれが、自分の生まれてきた使
命がある。第一期生としての幸せをかみしめ、責任を持ち、それぞれの立場で、
日台共栄ひいては世界の平和に微力ながらでも構わないので、貢献したいもので
ある。
日本李登輝学校台湾研修にご尽力していただいた全ての方々に心より感謝申し
上げます。ありがとうございました。
(平成十六年十二月九日)
◇李登輝前総統推奨のDVD映画「跳舞時代」(日本語字幕付)、好評頒布中!
■頒布価格 会員:3,500円 一般:3,980円
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