去る7月18日に行われた台湾の許世楷新駐日代表の歓迎会は参加者に大きな感
動を与え、今後の日台関係の進展に希望を持たせてくれるものでした。
許世楷代表の決意表明もさることながら、盧千恵夫人が、台湾やご自分たちの
これまでの苦難の道について淡々と話されるその毅然とした姿勢に、出席者はま
さに文字通りの「内助の功」を見出し、深い感動を味わいました。
本会理事で高座日台交流の会事務局長の石川公弘氏もそのお一人で、高座日台
交流の会の「会報」最新号で千恵夫人のスピーチ全文を紹介していますので、こ
こに転載いたします。
なお、歓迎会では許代表の生い立ちから、千恵夫人とのロマンス、台湾へ帰国
したときの千恵夫人のスピーチなどを収めたビデオも上映され多大の感動を与え
ましたが、この歓迎会の模様がビデオ内容も収録してDVD版として完成しまし
た。
ご希望の方にはお送りいたしますので、郵便振替用紙に「許世楷新代表歓迎会
DVD」と明記の上、日本李登輝友の会までお申し込みください。郵便振替用紙
は機関誌『日台共栄』に付いている赤い「郵便払込取扱票」か、郵便局備え付け
の青い「郵便払込取扱票」をお使いください。 (編集部)
■DVD名称
許世楷新代表歓迎会DVD
■頒価
1枚:1,000円(送料160円)
■お振込先
郵便振替口座 00110−4−609117
加入者名 日本李登輝友の会
感動を与えた新大使夫人の挨拶
高座日台湾交流の会事務局長 石川 公弘
台湾の駐日大使に、津田塾大学名誉教授、許世楷博士が新しく就任されたこと
は、ご存知の方も多いと思います。7月5日に行われた台湾での就任宣誓式で、陳
唐山・外交部長(日本の外務大臣)は、7月7日に70歳の誕生日を迎える許世楷博
士に、「人生70にして始まる、老いてなお有為、志は千里に有り」との言葉を贈
ったそうです。
許世楷新大使は、人柄といい、識見といい、風貌といい、全く素晴らしい人物
です。ここのところ、台湾の駐日大使には、荘銘耀氏、羅福全氏と、エース級の
登板が続いていますが、特に今回の人事には大きな期待が持たれているようです。
7月18日、日本李登輝友の会主宰による新大使歓迎会が、新高輪プリンスホテル
で開催されました。許世楷新大使は、自らの使命として、1、台湾憲法改造への
日本の理解を深めること、2、安全保障面で日米台の連携を強化すること、3、
文化学術の交流を拡大することを挙げられました。
加えて、いまの台北代表処という名称は台湾全体を表すものではない。これを
常識的に台湾と改めること、また世界で始めて台湾に開通する日本新幹線の意義
を、積極的に広めていきたいと抱負を述べられました。
その内容を詳細に報告するのは別の機会に譲り、今回は歓迎会当日、参会者に
深い感動を与えた賢夫人の誉れ高い、千恵新大使夫人のご挨拶を、皆様にお伝え
したいと思います。
千恵新大使夫人の挨拶
こんなに多くの方々に、お集まりいただき、なんとお礼を申し上げれば良いの
かわかりません。30数年間台湾へ帰れず、日本に長い間滞在しておりました私
どもを、暖かく見守って下さった方々、ここにいらっしゃる阿川弘之先生、宮崎
繁樹先生や服部公一先生、一緒によりよき台湾のために頑張ってきた仲間たち、
王育徳夫人、宗像隆幸さん、寥春栄さん、周英明ご夫妻、黄文雄さん、小林さん、
喜びも悲しみもともにしてくれた多くの友達と親戚、みんな、白髪は増えしわは
多くなりましたが、お会いできて大変うれしく思っております。
私が12年前、ブラックリストが解除になり、台湾の地を30数年ぶりに踏ん
だとき、「この台湾は私の思い描いていた台湾と違う」と、泣きそうになりまし
たが、主人の世楷が、「君が台湾を出て行ったときは18歳、今はもう50幾つ
になりました。君が変ったように台湾も変ったのです」と慰めてくれたのです。
それから12年、私たちは10の部族の学生がいる原住民の学校へ行き、学生
たちと共に生活しながら一緒に学んできました。原住民の学生が、遠いという言
葉は、「イディ〜ラ」と言うのだと教えてくれました。更に遠い場合は、音を「イ
ディ〜〜〜〜ラ」と伸ばせば良いと言うのです。孫がお爺さんに、「アメリカは
遠いの」と聞いたところ、お爺さんは、「イディ〜〜〜〜〜と言ったまま、山へ
仕事に行ってしまい、帰って来てから、〜ラ」と言ったなど、楽しい話をたくさ
んしてくれました。(会場笑いの渦)
台中の大学では、中国人になりかかっている学生に「君たちは台湾人なのだ」
と教えてきました。また、読書会、人権委員会などコミュニティでの活動を通
して、台湾人のバイタリティに触れ、希望も見出してきました。
アムネスティの仕事もしました。日本に居るときは、日本の方々ばかりでなく、
ドイツやスエーデンの人たちまでが、台湾の政治犯のために一生懸命助力してく
れました。いま台湾は自由になり、こんな良い国になったのですから、そのとき
のお返しとして、他の国々の政治犯を救いましょうと呼びかけ、台中に二つもア
ムネスティの支部ができました。本当に充実した12年間でした。
昨年夏、主人の69歳の誕生日に、「2人ともすぐ70歳になるのだから、そ
ろそろ人生の整理を始めましょうよ」と、年の初めにパソコンを買い込み、長ら
く留守をしていた台湾を再発見するため、新しい車も買いました。すべての公職
から、リタイアする準備をしていたのです。
それなのに主人の世楷は、このたび駐日代表のお仕事がもち上がると、私には
何の相談も無く、さっさと自分一人で引き受けてきてしまいました。(会場大
喝采)。
よほど、この仕事に魅力を感じたのでしょう。私も、国家がなお世楷を必要と
している、重責を彼に負わせようとしていると、身が引き締まる思いでいっぱい
になりました。(会場静まりかえる)。
赴任前、台湾へ戻ったときもそうでしたが、私ども所属の教会で、感謝礼拝を
行ってくださり、高俊明牧師が「神からのみ言葉を心にもち、強くまた雄々しく
あれ」と励まして下さいました。ロスアンジェルスにいる息子からは、「パパ、
インデグリティ(誠実)、ディグニティ(尊厳)、インテリジェンス(聡明さ)
をもって、台湾外交のためにがんばってください」と、エールが送られてきま
した。(大きな拍手)
ほんとうに、私たちだけではできない重責です。一昨年、ヨーロッパへ旅した
とき、ルクセンブルグという小国が、周りの国々からその独立を認められている
のを見て、ほんとうにうらやましく思いました。それと比べて、同じ小さな国台
湾の前途は、なんと険しく多難なのでしょう。
どうか本日ご出席の台湾人が、誠実、尊厳、聡明さをもって、世界に台湾のこ
とを語り、友達をつくって下さいますよう、また日本人の皆さんには、変らぬ友
情を台湾に与えて下さいますよう、心からお願いいたします。(長〜〜い、イデ
ィ〜〜〜〜ラな拍手)
千恵夫人は、学校の先生が生徒に話すように、淡々と物静かに話されましたが、
会場を埋め尽くした参会者は、深く感動していました。この日、登壇されたどの
人の話も、みな素晴らしいものばかりでした。新しい台湾外交が着実に回りだし
たのを見る思いでした。
閉会後、知り合いの台湾の友人に声をかけると、だれもみな非常に高揚してい
ました。私たち日本人は、大使ご夫妻をはじめ多くの台湾人の抱く「千里の志」
が、見事に開花し結実するよう、共に憂い共に行動していきたいものです。
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発 行:日本李登輝友の会・メールマガジン「日台共栄」編集部
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