王育霖氏など2・28事件で犠牲となった司法関係者を偲ぶ特別展が228記念館で開催

昨日から台北の「二二八記念館」において特別展「公与義的堅持(公平と正義へのこだ
わり)」が始まり、2・28事件で犠牲となった王育霖氏など司法関係者を偲ぶ内容だとい
う。中央通訊社が報じているので下記にご紹介したい。

 王育霖氏は、日本で台湾独立運動をはじめた王育徳氏の実兄で、台湾独立建国聯盟日本
本部の王明理委員長の伯父に当る。

 東大在学中に司法試験に合格。卒業後、台湾出身者として初の検察官となり、京都地方
法院に勤務。その後、台湾に帰り新竹地方検察局の検察官としてつとめていたが1947年3月
某日に逮捕され、2・28事件の犠牲となった。まだ29歳だった。

 王育徳氏は2・28事件を「3月大虐殺」とも言い換えているが、兄の王育霖氏については
その著『「昭和」を生きた台湾青年─日本に亡命した台湾独立運動者の回想1924-1949 』
(草思社、2011年4月刊)に詳しい。本誌でも刊行当事に書評を掲載したことがある。名著
といってよい。2・28事件記念日を目前にして、別項で改めて紹介したい。

 ところで、最近、大将まで上り詰めた台湾軍の元軍人が「2・28事件の犠牲者はせいぜい
1000人」と心ない発言をして物議を醸している。2・28事件の犠牲者数は、台湾・行政院の
発表によると18,000人から28,000人にものぼっている。王育霖氏のような台湾の将来を担
う前途有為の青年が多かった。

 台湾軍といっても国民党の軍隊という意識が強い中国人軍人には台湾人虐殺である2・28
事件を軽く見ようとする傾向が未だにあるようだ。そのような輩には、王育霖氏夫人が語
った「生涯最大の願いは、夫の冥福を祈る法要が行えるよう、いつ亡くなったかを知るこ
と」という切ない願いは届かないのかもしれない。

 このような発言はまた、馬英九政権下の台湾が内部から「台湾地区」化=中国化してゆ
く最近の傾向と無縁でないように思えてならない。

 なお、台北の「二二八記念館」の特別展「公与義的堅持(公平と正義へのこだわり)」
は、2月24日から6月3日まで開かれている。台湾を訪れたときにはぜひ拝観したいものだ。


二・二八事件の被害者遺族:「夫の命日が知りたい」
【中央通訊社:2012年2月24日】
http://japan.cna.com.tw/Detail.aspx?Type=Classify&NewsID=201202240010

 (台北 24日 中央社)いわゆる「二・二八事件」を4日後に控え、一部の被害者遺族から
「最大の願いは、あの人の命日を知ることだ」との声が出ている。

 「二・二八事件」は1947年2月28日、台湾の主要都市で起きた官憲のタバコ密売者に対す
る暴行に端を発した大規模な流血事件。

 今年は事件発生後65年目に当たり、犠牲になった司法関係者を偲ぶ特別展がきょう、
「台北二二八記念館」で開幕した。受難者には台湾人として日本で初めて検察官を担当し
た王育霖さんや李瑞漢弁護士らが含まれている。

 王育霖さんは1947年3月、兵士たちに連行され、それっきり消息を断った。「父は当時ま
だ29歳で、母が女手ひとつで息子の僕たちを育ててくれた」と息子の王克紹さんは振り返
った。

 今年90歳近くになる王育霖さんの妻も、「当時兵士に銃で喉を刺され、夫を追いかけら
れなかったことが、心に一生影を落とすことになった。生涯最大の願いは、夫の冥福を祈
る法要が行えるよう、いつ亡くなったかを知ること」と語った。

 李瑞漢さんの場合、同年3月10日、同じく弁護士の弟や当時の台湾省弁護士同業組合連合
会会長と3人で家で雑談しながら、するめ粥を楽しんでいた際、憲兵に「会議」の口実で呼
び出された。3人とも王育霖さんと同様、帰らぬ人となったため、遺族らはこの日を李さん
らの命日にし、毎年この日にするめ粥を食べ、3人を偲ぶことにしている。

 同事件が発生して60年あまり過ぎてもなお、遺族らは真相究明を切に願っている。この
特別展は6月3日まで続く。


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