玉川大学教育博物館が所蔵する外地教科書は明治28年から [久米 幹男]

収蔵数は台湾総督府発行教科書3,972冊、朝鮮総督府発行教科書8,406冊

 7月29日発行の本誌第577号において、玉川大学教育博物館が台湾や朝鮮の日本時代に
使われた教科書を所蔵、展示していることをお伝えしました。その中で「昭和のはじめ
から収蔵してあるようで、その数は1万5千冊ほどにもなっている」と書いたところ、収
蔵に関係された久米幹男様から、それは間違いだという内容のご丁重なお便りをいただ
きました。

 確かにご指摘の通りですので、ここに訂正してお詫びするとともに、久米様のご了承
のもとそのお便りをご紹介いたします。

 お便りの中に、六士先生の一人である楫取道明(かとり みちあき)の名前が出てき
て、本会会長の「小田村先生の御先祖様と思われます」とありますが、これはその通り
で、楫取道明は小田村会長の祖父に当たる方です。

 先に「編集子も未見なので、この夏休みを利用して玉川大学教育博物館を訪ね、第一
展示室にある日本時代の教科書をじっくり見てこようと思っている」と書きましたが、
改めてその思いを強くしています。久米様、有難うございました。

■玉川大学教育博物館
 http://www.tamagawa.jp/research/museum/index.html
 〒194-8610 東京都町田市玉川学園6-1-1
 Tel:042-739-8656 Fax:042-739-8654
 eメール:museum@tamagawa.ac.jp

【交通】小田急小田原線「玉川学園前」駅下車 徒歩3分


貴会発行の記事につきまして

                                  久米 幹男

前略

 玉川大学教育博物館が所蔵する外地教科書の紹介記事を出されておられますが、その
中に、『最近、外地教科書の目録を発行し、昭和の初めから収蔵しているようで』とい
う記載がありますが、これは誤りです。

 昭和の初めからではなく、明治28年の領台のときからの教科書を収蔵しております。
一番古いものは、明治28年発行の『日本語教授書』というものです。御参考にされて下
さい。

 次に古いものは、明治29年発行の『新日本語言集甲号』ですが、この本は、六氏先生
のひとりである楫取道明氏も編修に関与しているものですが、道明氏は楫取素彦(小田
村素太郎)(群馬県令、元老院議官)(吉田松陰の妹を妻とした)の二男で小田村先生
の御先祖様と思われます。

 また収蔵数は、台湾総督府発行教科書3,972冊、朝鮮総督府発行教科書8,406冊の合計
12,378冊です。他に旧韓国政府学部発行のもの、満州帝国政府発行のもの、南洋庁発行
のもの等があります。

 なお、植民地教科書といわず、外地教科書という表現を使いましたのは、欧米列強の
東洋に対する略奪とは全く異なった統治であり、黄文雄先生の出版物にまつまでもなく、
日本の台湾統治が現在も現地の人たちから支持されていることのゆえに使いました。

 また昭和20年までは、日本内地に対し、外地といった慣用に従いましたが、玉川大学
はこの私の使用した用語をそのまま受け継いでくれました。

 また、現在も残された理由は、日本の教育に対する現地の人たちの感謝の気持ちのゆ
えです。

 詳しくは[PDF] 臺灣教育史研究會通訊に記載されてあります。

 取急ぎ御連絡申し上げます。                      敬具



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