熱き尖閣への想い  水野 孝吉(新潟時局研究所「ヴェクトル21」発行人)

尖閣諸島は中国でも台湾でもない、紛れもない日本の領土である。その尖閣諸島は北小
島に灯台を建てた男たちがいる。その一人が水野孝吉(みずの・こうきち)氏だ。

 水野氏は去る6月18日、金美齢さんを講師に石垣島で開催された「尖閣諸島を守る集い」
に参加、その感想を己が発行する「ヴェクトル21」につづっている。短文だが、心ゆすぶ
られる。下記にご紹介したい。

 ちなみに、金美齢さんは「憲法九条で平和は守れない。(尖閣諸島に)自衛隊を駐屯し、
想定外のことも考えて備えるべきだ」と熱弁をふるったという。


熱き尖閣への想い  
水野 孝吉(新潟時局研究所「ヴェクトル21」発行人)
【ヴェクトル21:平成23年7月1日発行、第47号】

 私は、この「集い」が開催されることを知り、矢も楯もたまらない気持ちだった。万難
を排しても石垣へ行こう、いや行く義務があると思った。

 私が尖閣諸島の北小島と魚釣島に渡ってからどれだけの年月が経ったろうか。そう、忘
れもしない平成八年七月だった。その時の目的は北小島に灯台を建てることだったが、口
はばったい言い方になるが、あの時の厳しい苦労は筆舌に尽くし難いものだった。灼熱の
太陽のもとでの作業は地獄である。二〇キロのセメントの何と重いこと。穴を掘りセメン
トを流して基礎アンカーをつくる。夜は野宿だ。疲労のためか七人の同志は夕食をとると
すぐに寝入った。身体は綿のようだ。

 翌朝三時、眼が覚める。なぜか寒い。寒さのためか全員が起き出してくる。灯台建設の
作業─完成の喜び、今でも私の脳裏にしっかり焼きついている。

 帰途、志なかばで鬼籍に入った同志が眠る魚釣島へ上陸して墓参。北小島に灯台を建設
したことを報告して石垣へ帰ってきた。あの日々のことが今でも走馬灯のように浮んでくる。

 歳月は流れ、尖閣諸島をめぐる情勢も変わってしまつた。日本政府はもちろん、残念な
がら国民の意識も変わってしまった。

 しかし、今度「集い」に参加するため石垣島に渡ったところ、何と富施君や津山市議の
岡田君、そして篠塚君、堀本君ほか10名の同志が居た。それよりも私を驚かせたのは地元
の方たちが私たちの建てた灯台を心から感謝してくれていることだった。なかには涙を流
さんばかりに話す人もいた。まさに至福の時である。

 あの灯台が石垣島の人たちに感動を与えてくれるとは、率直に言って容易に信じられな
いほどの喜びだった。「集い」の前夜、私たちはともに酒を汲みかわした。うまいうまい
酒の味であった。同じカマのメシを喰った仲間たち、そして灯台を建てたことを心底、感
謝してくれる玉城栄一氏をはじめとする地元の人たち。私は日本人の心をそこにみること
ができた。そうだ、私の歩んできた道は、けっして間違っていなかったのだ。今回、開か
れた「集い」がそれを裏づけている。五六一人の同志が駆けつけた「集い」。今、私の心
は熱く熱く燃え上がっている。尖閣諸島の主権は絶対に守らなければない。

 日本政府は「北方領土の日」を制定して北方領土の即時返還要求の運動を国民に呼びか
けている。それはそれでよしとしよう。ならば「尖閣領土の日」を制定すべきではないか。
また「竹島の日」 (島根県としては二月二十二日)も制定すべきである。

 私は「集い」に参加して本当によかった、としみじみ思っている。あの熱気につつまれ
た「集い」こそ日本人の心の表現であろう。

 当分、私はあの熱気から醒めることはないだろう。

*今後、台湾とは漁業問題の話はきちんとしなければならない。
 
                       (一部殿岡昭郎「灯台物語」より引用)



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