昔は東京湾でハマグリがたくさん採れた。ところが、高度成長期に沿岸埋め立てや生
活排水による水質悪化でほぼ全滅した。そこで国産に代わって流通したのが中国から輸
入のシナハマグリ。ところが、純国産の江戸前のハマグリを蘇らそうと頑張っていた人
々がいた。千葉県漁協連合会だ。
その甲斐あって、昨年は25トンの収穫があり、今年は120トンを放流し30トンほどの
出荷を見込んでいるという。
なんと驚いたことに、江戸前ハマグリの育ての親は台湾だった。親は有明海の天然ハ
マグリで、高い養殖技術を持つ台湾に稚貝を送って2センチほどまで育て、それを東京
湾に放流してきたのだという。
これぞまさしく「日台共栄」ではないか。台湾よ、ありがとう。日本からシナハマグ
リを一掃して、台湾で育てていただいた国産ハマグリを大いに食べようではないか。
江戸前のハマグリは軟らかくて甘味があるという。実は、ハマグリのしぐれ煮は酒の
つまみにもピッタリなのだ。 (編集部・左党)
江戸前のハマグリ漁が東京湾で約40年ぶりに…
【2月9日 毎日新聞「雑記張」】
◇江戸前のハマグリ漁が東京湾で約40年ぶりに復活し8日、千葉県漁連が木更津沖の干
潟で漁を公開した。木更津市中里漁協の組合員らは、直径4〜5センチに育ったハマ
グリを水揚げした。
◇国内のハマグリ漁獲量は激減し、現在流通するほとんどは中国産。県漁連は有明海の
天然ハマグリを、高い養殖技術を持つ台湾に送って稚貝を生産する方法で、04年から
本格的に木更津沖に放流してきた。
◇今年は15〜30トン出荷できる見通しで、県漁連の安室宏会長は「プランクトンを食べ
て育つハマグリは、東京湾浄化にも役立つ。できるだけ多く出荷し、安くておいしい
ハマグリを多くの人に食べてほしい」。 【児玉賢二】
『江戸前ハマグリ』復活を 木更津沖 今年は120トン放流 千葉県漁連が挑戦
【2月8日 東京新聞】
高度成長期に死滅した東京湾のハマグリを40年ぶりによみがえらせようと、千葉県漁
協連合会が「ハマグリ復活プロジェクト」を進めている。数年来の稚貝放流が実を結び
つつあることから8日、同県木更津市沖でハマグリの採取作業を公開した。ハマグリな
どの二枚貝には海水をろ過する水質浄化作用があり、東京湾の水質改善にもつながる。
地元漁業者は「江戸前ハマグリの隆盛を再び」と意気込む。
(木更津通信部・岡村淳司、写真も)
同漁連によると、東京湾ではかつて年間数千トンのハマグリが採れた。しかし、沿岸
埋め立てや生活排水による水質悪化で大量死が頻発。1968年に同県袖ケ浦市で発生した
大量死を最後に姿を消した。
全国的にも同様の傾向で、65年まで年間1万トン以上あったハマグリ類の国内漁獲量
は今では1千トン前後。うち8割が外洋性のチョウセンハマグリ(純国産種)で、東京
湾と同じ内湾性ハマグリは絶滅の危機にある。国産に代わったのが中国から輸入される
シナハマグリで、流通量は国産の10倍以上という。
こうした中、木更津市の中里漁協が2002年、九州・有明海の天然稚貝を試験的に放流。
これを機に県漁連と県内約10漁協による復活プロジェクトが始動した。
放流するのは有明海の天然ハマグリを親とし、台湾で育てた殻長約2センチの人工稚
貝。これを06、07年に約20トンずつ東京湾沿いの千葉県内数カ所に放流したところ、昨
年は内湾性ハマグリの全国漁獲量の8分の1にあたる25トンを採取できた。これを追い
風に今年は120トンを放流し、本格的な復活を目指す。
県漁連東京湾漁業振興室の多田和夫室長は、「東京湾のハマグリは軟らかくて甘味が
あり、江戸時代からしぐれ煮などで親しまれてきた。早く昔のような状態を取り戻した
い」と話している。
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