検定合格の地図帳は帝国も東書も失格!  浅見 正

以前、台湾李登輝学校研修団13期生の浅見正(あさみ・ただし)氏が「無窮」(京都讀
書會発行)に寄稿した一文「拝啓 蔡焜燦先生」をご紹介しました。

 英語の教師時代に「日本を知らない」ということで思い悩んでいたが、ようやく蔡焜燦
先生が書かれた『台湾人と日本精神』にたどり着いたという喜びと、台湾を訪問したこと
で日本に目覚めたという内容です。現在、日台交流に携わっている方々も、自らの体験と
照らして共感するところの多い一文だったようです。

 浅見氏は9月半ばに発行された「無窮」第44号にも、今年の検定で合格した中学校の教科
書が展示された教科書展示会に行って各教科書を比較した感想を、「京都讀書會」を主宰
される椿原泰夫氏宛の手紙形式で「拝啓 椿原先生」と題して寄稿していました。

 中学校地図帳のことがまず出てきますので、本誌では歴史教科書(育鵬社と自由社の内
容比較)のことは割愛し地図帳について触れたところをご紹介します。また、「追伸」も
読んでいただきたく紹介します。

 なお、原題は「拝啓 椿原先生」ですが、本誌掲載に当たって「検定合格の地図帳は帝
国も東書も失格!」としたことをお断りします。

 浅見氏は来る11月2日からの第16回台湾李登輝学校研修団に参加します。この研修団のお
申し込み締め切りは10月10日です。定員までまだ少し余裕がありますのでふるってご応募
ください。

◆拝啓 蔡焜燦先生(上) 浅見 正(6月9日発行、1332号)
  http://melma.com/backnumber_100557_5205026/

◆拝啓 蔡焜燦先生(下) 浅見 正(6月10日発行、第1333号)
  http://melma.com/backnumber_100557_5205612/


検定合格の地図帳は帝国も東書も失格!

                                    浅見 正

 三十五度を超す厳しい暑さの合間に最近よく言はれるゲリラ豪雨とやらが突然襲ふとい
ふきわめて乱暴な天候が続いてをりますが、先生におかれましてはご健勝にお過ごしであ
りますやうにお祈りいたしてをります。

 実は最近経験したことで是非先生にお伝へしたいことがありますので、久しぶりに筆を
執らせていただきました。

 今年は中学校の教科書採択の年で、この夏がその時期に当たつてをります。小生の関心
は二つ、地図帳の領土表示がどうなつてゐるか、特に台湾と大陸を区別する表示が実現さ
れてゐるかといふことと、歴史・公民教科書の保守系二社の記述の違ひと既存他社の記述
傾向はどうかといふことです。

 教師としての現役時代には教科書展示期間が始まると、指定された閲覧期日に自分の専
門分野の各社の教科書をざつと閲覧して、希望する教科書名を書いて投函するといふ作業
を当たり前のやうにやつてをりましたが、現役を離れてみると、改めて一般人に対する教
科書展示会の広報がお座なりで、周囲の誰に聞いても展示会なるものの存在を知りません。
我が市のホームページをどう探しても、それに関する記事が見つかりませんでした。仕方
なく現役の我が後輩教員に尋ねてやつと判明したといふ次第でした。

 展示会ではまず地図帳を閲覧しました。東京書籍と帝国書院の二社のみでしたので、ま
ず日本の領土の範囲がしつかり明示されてゐるかを見て、両者とも問題ないだらうと判断
致しました。次に台湾です。国境を示す線種の説明では、確定してゐる国境線は太く赤い
実線、紛争中あるいは未確定の国境は波線などとしてありますので、台湾と大陸の間には
少なくとも破線は引いてなければならないと思つて両者を見ると、いずれの場合も台湾の
東側だけに太い実線が引かれてゐるのみで、一見して台湾は中華人民共和国の一部としか
見えないやうに描かれてをりました。

 さらに歴史的な経緯を示す別の図では、帝国書院は「千九百四十五年までは日本領」と
書くにとどめてをりましたが、東京書籍は「千九百四十五年に日本から中国に返還」と書
かれてをり、東京書籍の悪質さに怒りがこみ上げて参りました。

「両者とも失格。特に東京書籍は歴史的経緯の説明が明らかに事実と異なるので最悪」
と記入して投函し、歴史教科書に移りました。(後略)

追伸 まず小生が最近目にした俳句をいくつか紹介いたします。

龍天に昇る津波を引き連れて
春の海鈍器となりて根こそぎに
整然とパン待つ人ら冴え返る
地震あとに生まれ光里(ひかり)と名付けらる

 これらは地元で小さな句会を主催してゐる小生の義母の手によるものです。彼女は大東
亜戦争の終戦時十五歳の女学生で、終戦直後の東京の悲惨な光景を目に焼き付けてをりま
したので、それと重ね合はせてみるやうに今回の被災地や被災者達のことを思ひ、涙なし
には過ごせない日々であつたやうです。

 震災後間もなく台湾歌壇の方々の、被災した人々に寄せたお歌の数々を彼女に紹介した
ことがあつたのですが、数日前に新しい句集ができたからと一冊差し出されたのを見ると、
いきなり最初の一句から二ページに亘り十数句、震災に寄せた句が並んでをりました。

「今回は本当に一生懸命心を込めて作ったのよ。」と申してをりました。その句集一冊



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