人で、渡部昇一氏(上智大学名誉教授)や稲盛和夫氏(京セラ名誉会長)らも熱心な購読
者だという。
この9月号に、「『日本精神(リップンチェンシン)』を支えとして困難な改革を成し遂
げた李氏の人生観、リーダー観に迫った」として、李登輝元総統へのインタビューを「我
が人生信条─リーダーはかく大事をなせ」と題して掲載している。
しかし、インタビュー後、李元総統が起訴されたことで、その掲載について逡巡したよ
うだ。それが下記の本文リードによく表れている。
≪6月10日、本誌は台湾で李登輝氏にインタビューした。その20日後の6月30日、台湾最高
法院検察署は国家機密費横領の容疑で李登輝氏を起訴した。李登輝氏は直ちに起訴の事実
無根を訴え、引き続き台湾民主の深化を目指していく旨の声明文を出した。台湾本土派の
大学教授で構成される台湾教授協会も不当起訴の抗議声明を発表した。台湾では来年1月、
国民党と民進党が対決する総統選挙が行われる。それ故の政治的意図を含んだ起訴、とい
う論評をする知識人も多い。
事態がどういう結末をみせるのか、予測はつかない。
ただ、3時間のインタビューの間、李登輝氏は国を思い、国民を思い、日本を思い、溢れ
んばかりの情熱とバイタリティをもって語り続けた。その姿は88歳という年齢をまったく
感じさせず、生気に溢れ、その言葉に我々は真実を感じた。
よって、ここにそのインタビューを掲載する。
真実はいずれ歴史が明らかにするだろう。その意味でもこのインタビューは人間学の多
くの糧となるに違いない。≫
しかし、このような逡巡こそが、起訴した側の狙いだろう。李元総統が来日しようとし
ても、それを阻止する狙いもあるに違いない。だがそれは、それだけ李元総統の影響力が
大きいことを裏付けていることにもなる。
月刊「致知」編集部は、逡巡を乗り越え、李氏の「言葉に我々は真実を感じた」ことで
インタビュー掲載に踏み切ったという。編集部の勇断に拍手を送りたい。
◆ 月刊「致知」9月号
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