旧制台北一中:同窓会組織が年内解散へ 高齢化進み

【5月13日 毎日新聞】

 日本統治時代の台湾で「文武両道」として知られた旧制台北一中で学んだ人たちでつ
くる同窓会組織「麗正会」が年内に解散することになり、12日、東京都内で最後の大規
模な同窓会を開いた。最も若くても70歳代と高齢化が進み、会の運営が難しくなったた
め。台湾からも含めて同窓生約270人が出席し、戦前に外地で共に学んだ友情を確認し
合った。

 台北一中は1898(明治31)年創立。日本と台湾の学生が学んだ進学校で、甲子園に春
夏計7回出場した野球部や全国大会の常連だったラグビー部などスポーツも強かったが、
戦後の46年3月に廃校となった。同窓生は約6000人。

 同窓会は1900年に発足。学校近くの旧台北城門・麗正門にちなんで「麗正会」と名づ
けた。会誌を発行するなどの活動を続けてきたが、同窓生の高齢化に伴い、解散を決め
た。資料などは玉川大教育博物館に寄贈する。

 元最高裁判事の園部逸夫さん(78)は41年入学の39期生。「自由で規律の正しい学校
だった。あの学校の雰囲気が自分の体の中に染み渡っている」と振り返る。

 最後の卒業生である40期の小田嶋義郎さん(78)は「3年生になってからは、飛行場
建設に動員されるなど、勉強に打ち込めなかった。仲間と苦労を共にしただけに学校へ
の思い入れは強い。解散はさみしい」と話した。

 12日の同窓会には車椅子で参加した人の姿も。最後は全員で校歌を歌い、万歳三唱で
締めくくった。【佐藤敬一】



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