去る8月14日付「日経新聞」夕刊が、ある上海在住者からの投稿で、自分の妻が
台湾の病院で診察を受けた体験談を掲載しています。
ところが、台湾でも医師としての経験を持つ本会常務理事で医学博士(東京
大学)の林建良氏(メールマガジン「台湾の声」編集長)は「問題は日本経済新
聞が、このようないい加減なメール投稿に何の疑問も持たず、また何の裏も取る
ことなし無批判に取り上げたことだ。その結果、台湾人は誹謗され、台湾の医療
全体の信頼は著しく傷つけられた」と憤慨し、日経新聞への抗議を呼びかけてい
ます。
最近、日経新聞は総統選挙などでは冷静で正鵠を射た報道をしていただけに、
日台の関係者も注目しはじめていたところでした。しかし、台湾報道とこの「世
界耳寄り通信」欄の担当者は違うとはいうものの、日経新聞がこのような心無い
杜撰な投稿を掲載したことは誠に残念です。
ここに、日経新聞のその記事全文を紹介して抗議を呼びかけた8月16日付のメー
ルマガジン「台湾の声」を転載してご紹介します。 (編集部)
【抗議】日経新聞の台湾誹謗に抗議する(できるだけ、転送してください)
日本経済新聞(2004年8月14日付夕刊)は「世界耳寄り通信」欄で、外国におけ
る読者の「アッと驚く医療体験」を紹介し、そのなかで、上海在住のKKなる人
物の、妻の台湾での体験談を下記のように取り上げた。
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風邪なのに結核と診断
上海に住むKKさん(43)からは10年前、台湾で「結核患者にされそうになっ
た妻」のお話が。「風邪をひいて総合病院にかかりました。医者は開口一番『君
の奥さんは結核だ!』と言い放ったのです」
肺の細胞を採取する検査の直前、「土壇場でどうしても納得がいかない、痛い
検査はいやだとの妻の一言で、急きょ検査をキャンセル、日本で検査を受けるこ
とにしました」。結局、結核ではないことが判明したそうです。
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これを読む限り、実に信憑性に欠けた穴だらけの話である。
ここではあたかも台湾人医師が検査以前の段階で、何の根拠もなく「結核だ」
と断定を下したように語られているが、当時台湾の医療現場で働いていた小誌編
集長からみれば、これはとても考えられないことだ。
なぜなら医療紛争の多い台湾では、このような断定的な言い方をしないことが
医療現場での掟になっているからだである。
仮にこの医師が実際に「結核」と断定したのだとしたら、なぜ彼はその後検査
を進めようとしたのだろうか。せいぜい「結核の疑い」があると言っただけでは
なかっただろうか。
また細胞診は、なにも最初から気管支鏡を使って行うのではなく、まず先に「
喀痰」で検査を行う。それも「痛い検査」と決めつけるのか。
なお台湾での確定診断を拒否した投稿者の妻は、その後日本でどのような検査
をして「結核ではない」と判断されたのかも知りたいところだ。
問題は日本経済新聞が、このようないい加減なメール投稿に何の疑問も持たず
、また何の裏も取ることなし無批判に取り上げたことだ。その結果、台湾人は誹
謗され、台湾の医療全体の信頼は著しく傷つけられたのである。
台湾は、医療においては世界有数の先進国である。それを否定するような悪印
象を軽々しく、そして面白おかしく流布する日本経済新聞は、大新聞としては
杜撰、不謹慎であり、責任は重大だ。
もしこれが中国共産党機関誌「人民日報」と業務提携する日本経済新聞の、中
国へのご機嫌取りのものであるとしたら、これは断じて許すことはできない。
我々は日本経済新聞に強く抗議する。
台湾の声編集部
【抗議先】
日本経済新聞
東京都千代田区大手町1−9−5
電話03-3270-0251(大代表)
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