故・安倍晋三元首相を悼む  岡山 文章(在日台湾同郷会会長)

 安倍晋三さんとは何度か一緒に過ごしました。話の流れの中で、世界の国々のデータがすらすらと出てくるのが印象的でした。安倍元首相は間違いなく世界のリーダーでした。

 安倍元首相が他の大勢の政治家と違う点は、法の支配を掲げ、正義という価値観を世界に再認識させたことです。それが世界に評価されているのです。

 民主主義国も権威主義国も等しく主権国家と考えるだけでは、暴力に妥協するしかなくなります。正義という価値観を持つことにより、単に国際関係に左右されるのではなく、私たちの国が主体的に進むことができるのです。

 安倍晋三さんはかつて「民主的な選挙を繰り返している台湾は国家として承認されるべきだ」と語ってくださいました。それだけでなくSNSを利用したソフトな形でも、いつも台湾のことを取り上げてくれました。私たちの心の声を理解してくれる掛け替えのない友でした。

 台湾では安倍元首相の暗殺を受け、半旗を掲げて弔意と連帯を示し、追悼の音楽会も盛大に行われました。また本会を含む台湾に関わる有志が日本で新聞の全面広告を出しました。

 在日台湾同郷会のメンバーは基本的に日本で納税しており、日本国籍を持っている者も少なくありません。「日本政府が安倍首相の国葬の費用が出せないなら、我々が出す」というのが正義を求め、安倍元首相に敬意を持つ台湾人の考えです。

 安倍さん、ありがとう。

  令和4年9月2日

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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