2008年の総統就任式の演説で馬英九氏は、中国とアメリカには触れたものの、日本につ
いてはなぜかまったく触れなかった。
5月20日に行われた2期目の就任演説ではさすがに日本に言及せざるを得なかったよう
で、「駐日出先機関の新事務所や台日新航路の開設、民間投資取り決めなど多くの進展が
あり、断交以来の40年間で最高の『特別なパートナーシップ』を打ち立てたと振り返り、
活路外交による国際空間の開拓は、両岸平和および国防と並び台湾の安全を守る要だと強
調した」(中央通信社)という。また、「第2の貿易パートナーである日本とは昨年の投資
取り決めに続くさらなる包括的経済協定を目指したい」とも述べた。
しかし、支持率は急落している。原油などの燃料価格の高騰によるとしてガソリンや電
力料金の値上げを発表するや、それに伴って物価も急速に高騰している。アメリカ産牛肉
の輸入規制緩和を進めようとしていることについても住民の不安は広がる一方で、支持率
は遂に19.5%に落ち込み、不支持率は67.8%まで上がっている(台湾誌『財訊』)。
1月14日の投開票日の翌日に行われた「中国時報」の調査では65.5%が馬英九氏の当選に
満足していると答えていたが、今やまったく数字が逆転し、過去最低の支持率に低迷する
なかでの2期目の出発となった。
対中政策は現状維持…2期目就任式の台湾総統
【読売新聞:2012年5月20日】
【台北=源一秀】1月の台湾総統選挙で再選された国民党の馬英九総統(61)の就任式が
20日、台北の総統府で行われた。
馬総統は2期目の就任演説で、対中国政策について「統一せず、独立せず、武力行使せ
ず」という「三つのノー」を1期目に続いて示し、現状維持を図りながら、経済など広範
な分野で交流を進める考えを示した。
馬総統は演説で、中台関係について「中華民国の中の2地区(大陸地区と台湾地区)」
と位置づけ、中台は「(それぞれの政権が統治する)現実を直視し、互いに主権は認めな
いが、統治権は否定しないとの共通認識で前進すべきだ」と述べた。
馬総統は就任式後の記者会見で中台間の平和協定について、「今のところ計画はない」
と明言し、民主化や人権状況で格差のある中国との政治面での関係強化に慎重な姿勢を強
調した。