芸館高校(森健太郎校長)は、平成23年から台湾への修学旅行を実施している。今年3月の
台湾修学旅行では李登輝元総統の「日本の若き龍馬たちへ──日本はワルくないよ。もっ
と胸を張って!」と題したご講演も実現している。
このことを知った隔月刊誌「歴史通」の立林昭彦(たてばやし・あきひこ)編集長は、
今年の7月号で「高校生が訪ねた台湾研修旅行報告」というミニ特集を掲載、李登輝元総統
の講演録や森靖喜氏と修学旅行を引率した小笠原健二(おがさわら・けんじ)教諭の対談
「今、なぜ台湾か──」、また、修学旅行に参加した生徒4人の感想文「李登輝先生の話を
聞いて」も併せて掲載している。
森理事長はそれまでに何度も訪台し、奇美実業創業者の許文龍氏などとも懇意にしてき
た関係で、台湾修学旅行では許文龍氏の講演も実現している。このような経緯を経て、許
文龍氏に許氏自ら制作した新渡戸稲造の胸像の寄贈を願い出たところ、台湾人の日本への
心を知ってもらえたらということで快諾いただいた。
昨12月20日、岡山学芸館高校で許氏から寄贈された胸像の除幕式が行われた。産経新聞
が伝えているので下記にご紹介したい。
岡山学芸館高校は来年3月、4度目となる台湾修学旅行を実施の予定だ。「歴史通」7月号
に掲載された生徒の感想文を読むと、日本人としての誇りを持つことの大事さに触れるな
ど、台湾修学旅行で受けた感銘を瑞々しい筆致でつづっている。それだけ深い感銘を台湾
修学旅行が生徒たちに与えたことに、こちらが逆に感激してしまうほどだ。
このような岡山学芸館高校の台湾修学旅行の対極にあるのが、係争中のNHK「JAP
ANデビュー」を台湾修学旅行の事前学習で視聴させた朝霞高校だ。
320名の生徒が書いた感想文のうち、県教委に提出した8名分のみを残してすべて廃棄し
たと伝えられている。学校側は「個人情報のため……講演会などの感想文も同様の処理を
しており、意図的なものではない」と説明しているそうだ。
改めて、校長や理事長などトップや担当教諭の指導力、すなわち「台湾認識」の違いに
思い至るとともに、NHK「JAPANデビュー」裁判の控訴審判決で「本件番組こそ、
その配慮のない取材や編集等によって、台湾の人たちや特に高士村の人たち……父親を誇
りに思っている控訴人高許の心に、深い傷を残したものというべき」と指摘していたこと
を思い出す。
朝霞高校は台湾修学旅行が生徒たちに「深い傷を残したものというべき」で、岡山学芸
館高校の台湾修学旅行をぜひ見習って欲しいものだ。
◆岡山学芸館高校
http://www.gakugeikan.ed.jp/
新渡戸稲造の胸像除幕 台湾の実業家が自作 岡山学芸館高へ寄贈
【産経新聞:平成25(2013)年12月21日】
五千円札に描かれた明治時代の教育者、新渡戸稲造(1862〜1933年)の胸像が、岡山市
東区の岡山学芸館高に建立され、20日に除幕式が行われた。台湾の実業家から寄贈された
ブロンズ像で、同校は「台湾近代化に尽力した新渡戸の功績を再認識し、教育理念の象徴
としたい」としている。
胸像は、台湾の石油化学会社「奇美実業」創業者、許文龍氏(85)自らが製作、台湾と
交流のある同校に寄贈した。この日の除幕式には約60人が出席。許氏の代理人と同校を運
営する森教育学園の森靖喜理事長らが除幕すると、台座も含めて高さ約180センチのブロン
ズ製胸像が現われた。
著書「武士道」でも知られる新渡戸は台湾総督府の臨時台湾糖務局長を務め、当時の植
民地政策を単なる収奪型にせず、現地のインフラ整備から立ち上げようと製糖業の近代化
に力を尽くした。その功績を認める許氏は東日本大震災で2億円を寄付した親日家。今回の
胸像寄贈は、台湾人の日本への心を知ってほしい─と実現した。
森理事長は「台湾にはいわゆる反日教育と真逆の事実がある。その根底にあるのは新渡
戸の武士道精神。改めてこの思いを見直し、教育に反映させていきたい」と話している。