岐阜李登輝友の会の総会・記念講演会レポート

■平成21年 岐阜李登輝友の会総会・記念講演会
 http://www.bunka.tank.jp/gifuritouki090517soukai_1.html

 平成21年5月17日(日)JR岐阜駅に隣接する「じゅうろくプラザ」にて日本李登輝友
の会岐阜県支部が設立から2年目となる総会、及び記念講演会が開催されました。

 日本李登輝友の会本部より柚原事務局長、重冨愛知李登輝支部長、そして野田聖子衆議
院議員秘書、藤井孝男参議院議員秘書らが、来賓として出席しました。

 岐阜李登輝友の会が発足した平成20年の活動、会計、会役員などについて報告と採決が
行われました。本年度は、新たに名誉会長として田代正美氏が就任。20(初)年度主な活
動として、金美齢女史を招いての設立総会、台湾研修ツアー、バーベキュー懇親会、林建
良氏を招いての日台フォーラム、幹事会 計10回、そして、会計監査より、正しく会計処
理が行われていることを報告。21年度計画として、1)組織基盤の確立 会員拡大、2)
台湾視察及び台湾関係者との交流、3)講演会の開催、4)署名活動、年間行事として6
月:台湾研修、8月:会員親睦交流会、11月:講演会の開催(※随時幹事会の開催)。

 柚原正敬・日本李登輝友の会事務局長はNHK「JAPANデビュー」など、最近の問
題に対し、具体的な対応について説明。【外登証】正名署名は、5月で完全終了。今後の
国籍表記は、パスポートに基づく法案が通過する流れになってきた。「中華民国」という
名称も残るが、日本は中華民国を認証していないこと。 そしてパスポート自体も「中華
民国」が小さく「台湾」が大きく記されており、台湾で落ち着くであろうことを示唆。次
なる問題としてNHKの受信料を半強制的な現行放送法を自由契約制に改訂するための署
名活動を展開することを発表。NHK「JAPANデビュー」が3年間シリーズということ
なので、3年間行動するとのこと。

 重冨亮・愛知李登輝支部長は、先代より故岸信介氏の意向を受け積極的に台湾との交流
を行ってきた経緯をもつ。岐阜県支部とは、常に協力関係を持ちながら日台関係強化を民
間レベルで推進していくことを述べられた。

 本年度より名誉会長に就任された田代正美氏は、今までも、台湾留学生の奨学金補助な
どを行って日台交流に力を注いで来ておられる。

■岐阜李登輝友の会設立一周年記念講演会 宗像隆幸先生─「台湾建国」台湾人と共に歩
 いた四十七年

 冒頭、今日(5月17日)台北と高雄で行われたデモから入った。

 台湾を中国へ売り飛ばそうとする馬英九と、それを阻止する台湾人との対立である。馬
英九は小泉政権当時、安倍官房長官へ「日本は台湾のことを誤解している。李登輝さんの
影響を受けている。台湾の独立派は少数で世論は支持していない」と発言した。国民党系
新聞が、その会談について、安倍氏は「台湾は独立を望んでいない」という意見に「安心
した」と答えたという記事が載った。しかし、安倍さんは、馬英九と会っていない。電話
で10分程度の挨拶をしたくらいであり、このような会談などしていない。とんでもない嘘
を言っている。国民党系新聞は、99%嘘が入っている。ある意味、台湾は、中国の嘘の文
化に毒されているところがある。私は何人かの台湾人を知っているが嘘を付く人間はいな
い。日本語世代は嘘をつかない。日本精神の重要な柱のひとつが「嘘をつかない」。何で
こんな嘘つき馬英九が当選したのか。

 台湾の総統である馬英九に投票したのは女性票。30代〜50代の票が馬英九へいった。い
わば、日本でいう「ヨン様」を追う中年女性と思えばよい。これがデモクラシーの皮肉な
ところである。

 馬英九が総統に就任して重要なことを行っている。「ひとつの中国」と。ひとつの中国
が中華人民共和国なら、台湾は別であるから、それでよいが、馬英九のいう中国とは、
「中華民国」を指している。中華民国が、大陸から全てを支配しているということである。
これは、中華人民共和国にとって非常に都合が良い。日本は台湾の領有を放棄したが、台
湾の帰属先は存在しない。中国が領有する根拠はないのだが、中華民国憲法に基づいて
「中華人民共和国の領土も我が中華民国の領土だ」といっている政権が、台湾にいること
になると、中華人民共和国からみれば、台湾に反乱分子がいることになる。したがって、
こういう反乱分子は鎮圧する権利がある。中国にとって非常に都合のよいことをいう馬英
九のような人物は、ごく僅か、数パーセントはいる。野心家である。中国の歴史の中で台
湾を併合したという歴史を残したい大野心家である。

 台湾の総統はかなりの権限がある。李登輝先生は、蒋介石側近の抵抗を抑えながら民主
化した。それだけ総統の力は強いのだが、馬英九がもっと強いのは後ろに中国がいる。中
国の経済力を行使する。それだの中国資本が入っている。それも、統一のために武力行使
も辞さない中国である。馬英九が反乱分子ならそれも可である。

 馬英九は「中国」とは「中華民国」としているが、世界で「ONECINA」といえば「中華
人民共和国」である。「中華民国」など誰も知らない。中台窓口、中国側のボスが来た。
それを歓迎しようと沿道に台湾の旗、国民党員もいたようで中華民国の旗、そして中国の
五星紅旗を持った人達がいた。そこへ警察が来て、台湾旗どころか中華民国旗まで取り上
げられ、残ったのは五星紅旗だけ。こんな卑屈にならなければならないのか。

 台湾独立の根拠は帰属先が未定であること。それをひたすら隠そうとしている。最近で
は、「日本が降伏した後、台湾は中国へ返還された」といった。日華平和条約でそう述べ
たといった。

 しかし、ごく最近、齋藤正樹大使が「台湾の領有を放棄したが、帰属先は決まっていな
い。それが、日本政府の見解だ」と述べたが、その後「個人的意見」とされた。こんなこ
とをしたのでは、中国への返還を認めたことになり歴史の偽造である。返還とは、中華民
国を指しているが、中華民国は亡びた。これが国連の見解である。つまり中華人民共和国
の一部であることを認めたことになる。

 実は、私は台湾のことをまったく知らなかったが、学生時代、下宿先に許世楷がいた。
彼らの台湾の留学生は、台湾から逃げ出したくて留学しようとする。恐怖政治を敷いてい
るからだ。自分は何をする、ということがなく、台湾支持こそ人生を賭けることと考えた。

 台湾と日本は地政学的に運命共同体である。独立運動をした学生は、台湾に帰れない。
我々も東京で独立運動を展開していたが、刑務所へぶち込まれた。しかし、警察と親しく
なった。その後、同窓会として新宿で飲んだことがある。−中略(後の要職者など名だた
る人物名が登場する−

 彭明敏(ホームページでは「黄文雄さん」となっていて、これは誤り)を台湾から脱出
させる仕事を引き受けた。1970年1月3日、脱出成功。このときの写真がこれである。白色
テロの時代だ。ある程度の年齢ならそのことの記憶があるが、李登輝さんのお陰で民主化
し、自由が普通になったが、最近、また取締りが厳しくなってきている。陳水偏が逮捕さ
れたが、これも国民党に逆らった見せしめになっている。機密費に領収証などある筈がな
い。また、逃亡することもないのだが釈放しない。これが白色テロ。最近、ロシアもその
ようになってきている。国家テロはグループによるテロより、根絶することは難しい。北
朝鮮がテロであっても国家ぐるみでは、内政不干渉があり、外国から潰すことは容易では
ない。国連もあてにならない。常任理事国が拒否すれば通らない。中国やロシアは赤色テ
ロ国家である。結局、国家テロを根絶するには民主化しかない。

 時代が変り、独立運動をした学生たちは、台湾へ帰国できなくなった。国民党にとって、
厄介な人物が帰ってきて欲しくない訳である。そこで彼らは、今度は台湾へ帰る決意をし
た。台湾へ潜り込み民主化運動をするために。かつて、国に居たくない、居たら殺される。
そのように海外へ逃れた学生が、今度は、恐れられる存在となり、台湾へ潜入することを
試みるようになった。

 蒋経国時代に三つ、大きなテロを行っている。ただ、228事件のときとは、その後が
違う。228後は、国民党批判ができなくなった。すれば逮捕される。しかし、この時は、
独立運動へ向かい。独立運動家を潜り込ませた。 逮捕されて獄中闘争をやろうとなった。
李登輝総統になって釈放された。時代の変遷ということか。逃げなければ、殺されるかも
しれないという状況から、獄中闘争をやるようになった。

 独立とは、何に対して独立なのか。「中華民国」からの独立であるが、実質的に中華民
国は滅んでいる。つまり、中華民国憲法の改正が独立である。李登輝総統もそこまでは持
っていけなかった。平和革命という言葉がある。聞こえは良いが、しかし、必ず残存勢力
が残る。結果、国民党は残った。日本は、敗戦により占領された。そして講和条約で独立
するのだが、その時点で占領軍から平和駐留軍として米軍が残ったわけだが、日本は、自
国を自分で守ることを忘れてしまった。しかし、いつまでも米国が守ってくれるはずがな
い。テポドンが日本を飛び越え米国に到達するにあたり、日本は自国へ来るのでないから
何もしないでは、通用しない。

 台湾は地政学上、大変重要な位置にある。中国は東シナ海・南シナ海を領海とする決議
をした。日本では東シナ海のことが問題にされるが、南シナ海の方がより重要である。南
シナ海こと日本の生命線にある。台湾が中国に支配されれば、これらの海が、領海内とな
る。国際法では通過できるが、領海内では、いくらでも難癖をつけられる。そして台湾の
規模に中国がミサイル配備したなら、米第7艦隊でも近づけなくなる。 だからこそ、日本
と台湾は運命共同体であることは、言葉のあやではなく現実の問題である。バシー海峡は
経済上でも日本の生命線になる。ここを中国に押さえられれば、日本も中国の属国になり
かねない。日台が運命共同体であることを改めて認識していただければありがたい。