小田村四郎会長が「馬英九政権に対する危惧と希望」を表明

日華(台)文化協会(倉田信靖理事長)発行の季刊「櫻梅通信」(第35巻、161号)に、
同会顧問を務める本会の小田村四郎会長(前拓殖大学総長)が「馬英九政権に対する危
惧と希望」と題して寄稿している。

 冒頭、小田村会長は馬英九政権が発足してからの4ヶ月を振り返り、「日台関係の緊
密化を願ふ日本人として、少かざる危惧を禁じえない」として、馬英九総統自身の中国
に対する融和政策に転じたことに見られる「中国に対する特別な親近感」、台湾郵政か
ら中華郵政に見られた「反台湾」思想への逆戻りと思われる事態など、危惧の例を挙げ
る。

 さらに、馬英九総統が中台関係について「国と国との関係」を覆したことを「深憂に
堪へない」重大な言明とし、二国関係の否定は「台湾自身が独立国であることを自ら否
定したことにならざるを得」ず、結局「中国に台湾併合の理論的根拠を与へるにすぎな
いのではないか」と問い質している。

 そして、1300基ものミサイル配備などの例を挙げ、中国自体は台湾併合の意思を捨て
ていないにもかかわらず、馬英九政権が進める中国への融和政策は「台湾側の一方的譲
歩に因るのではないかといふ思ひを消すことはできない」と、さらなる「深憂」を表明
している。

 一方、日台関係は中台接近によって「疎遠化」し、その象徴が尖閣諸島事件だったと
指摘、「特に日本国民として許せないのは許世楷前大使に対する謂れなき侮辱である」
と、事実を列挙してその常軌を逸する非道ぶりを嘆じている。

 それ故、台湾政府はこれまで通り日米関係に力を注ぐべきで、「断乎として独立主権
国家たる主張を貫き、また日米両国に対してより緊密に交流されることを心から希望す
る」とし、対中関係の好転は「これを奇貨として台湾側の主張を中国の妨碍を受けるこ
となく世界に発信できる」利点として活用して欲しいと結んでいる。

 短いながら、馬英九総統とその政権に対する日本人としての疑念あるいは苦衷、そし
て希望を簡潔に表明されたものであり、ぜひ原文に当たって読んでいただきたい一文だ。

                                   (編集部)

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