入館を拒否されたという。理由は、台湾は中国の一部なので、中国のパスポートか身分証を提示し
なければならないからだそうだ。8年前には同じパスポートで入館できたという。
やっぱりと思った。かつて韓国出身の潘基文(パン・ギムン)事務総長は「台湾は中華人民共和
国の一部」という見解を表明しているからだ。
潘基文が国連の事務総長に就いたのは2007年(平成19年)1月。この年の7月、台湾の陳水扁総統
は初めて「台湾」という名称で国連加盟を求める親書を潘事務総長宛に送付した。しかし、潘事務
総長は受理せず返却した。
その理由を「国連2758決議で国連は中華人民共和国が中国の唯一の合法的代表で、台湾は中国の
一部だと認定した」と説明していた。しかし、1971年10月25日に採択された「アルバニア決議」と
称されるこの2758決議は、中華人民共和国の「中国の合法的代表」という代表権を認めたもので、
台湾が中国の一部だと認定する法的地位に関する決議ではなかった。
ただ、「アルバニア決議」が採択されたことにより、当時の中華民国は常任理事国の座を失い、
中華民国代表は国連に抗議して脱退した。
潘基文事務総長の受理拒否に、台湾が抗議したのはもちろんだ。米国政府も「国連のコンセンサ
スではなく、米国の立場でもない」という申し入れを送り、日本政府も「見解に同意しない」
「誤った解釈で不適切だ」と申し入れた。
それから8年。国連は、潘基文事務総長が表明した通り、台湾を中国の一部とし、台湾人は中国
のパスポートか身分証を提示しなければ入館できないように規約を改定していたことが判明した。
また、米国や日本政府の申し入れを受け入れていなかったことも判明した。
これで、誤った解釈により台湾を貶める規約を改定した国連への信頼感が低下することは必至
だ。その責めが事務総長にあることは他言を要しまい。すでに米国メディアは潘基文事務総長に
「無能」の烙印を捺し、中国の軍事パレードに参加して中国を礼賛した潘事務総長への非難も強
い。
国連欧州本部、見学希望の台湾女性を門前払い 「中国旅券が必要」
【中央通信社:2015年9月17日】
(台北 17日 中央社)スイス・ジュネーブの国連欧州本部を見学に訪れた台湾女性が15日、中華
民国のパスポートと身分証を提示したところ、入場を拒否される出来事があった。
女性は8年前に1度同本部を見学しており、「以前は入場できた」と指摘したが、係員は「規定が
改定された」と回答。女性が別の係員になぜ見学できないか問いただすと、「台湾は中国の一部。
中国のパスポートか身分証を出せば見学できる」と述べた。
憤慨した女性は「私は台湾人であり、持っているのは台湾のパスポートだけ」「台湾は中国の一
部ではなく、私は中国人になったこともない」「これは差別だ」などと抗議。だが、2人目の係員
は譲らず「ここに残りますか。それとも帰りますか」と迫ったという。
見学拒否は女性がフェイスブック上にこの出来事を投稿したことから判明。17日までに1万回以
上シェアされている。外交部は同日、当日には別の台湾男性も見学を拒否されたと明らかにした上
で、国連の対応は受け入れられないとして、事実を確認後、直ちに厳重な抗議を行うと語った。
中華民国は1971年に代表権を失ったことから国連を脱退。その後、政府は再加盟を申請している
が現在に至るまで受け入れられていない。
(編集:杉野浩司)