台湾映画「返校」が7月30日にTOHOシネマズ シャンテで公開!

 台湾には拭い去ろうにも拭いきれない、忘れようにも忘れられない戦後暗黒時代があった。蒋介石政権による1947年の「2・28事件」であり、それに続く「白色テロ」時代だ。戒厳令が敷かれ、自由は罪とされ、人々に相互監視と密告が強制された時代だ。

 なんの罪もない人々が「政治犯」として投獄され処刑された。2・28事件では、3万人もの前途有為の青年たちが処刑され、白色テロ時代は10万人もの無辜の民が死刑にされたという。

 1949年5月20日に布かれた戒厳令は1987年7月15日に解除されるまで38年にも及んだ。戒厳令とともに、憲法を凍結し、権力を総統に集中させた「動員戡乱(かんらん)時期臨時条款」も1948年5月10日に施行されていて、内乱罪を規定した刑法100条や懲治叛乱条例(1949年5月24日施行)により、多くの人々が共産主義者やその協力者という冤罪で逮捕・投獄され、秘密裁判により処刑されたという。

 戒厳令が解除された後も、動員戡乱時期臨時条款も刑法100条も懲治叛乱条例もそのままだったが、当時の李登輝総統は1991年5月1日に動員戡乱時期臨時条款の終止を宣言し、同じ5月17日には懲治叛乱条例を廃止。刑法100条も1992年5月15日に改正された。これによって台湾の暗黒時代がようやく幕を下ろし、民主化がはじまる。

 2019年に台湾で公開された映画「返校━言葉が消えた日」はまさに戒厳令下真っただ中の1962年を時代背景とし、ある高校で起こった政府による暴力的な迫害事件と、その原因を作った密告者の哀しい真相に近づいていくというストーリーだという。

 7月30日、都内・日比谷の「TOHOシネマズシャンテ」で公開され、全国ロードショーがはじまる。下記に予告編や劇場情報を掲載するオフィシャルサイトから、映画の内容をご紹介したい。

 戒厳令が解除されて30年を過ぎたにもかかわらず、台湾の人々にはいまだ戒厳令下の暗黒時代の記憶が消えない。昨日は、2017年7月17日に90歳で亡くなられた台湾歌壇代表の蔡焜燦(さい・こんさん)先生のご命日。亡くなられる直前まで、吐き捨てるように「僕は蒋介石も中国人も大嫌いだ」といまいましそうにおっしゃっていた口ぶりを思い出す。

 実弟の蔡焜霖(さい・こんりん)さんは、台中一中在学中、読書会に参加したことで、卒業後の1950年9月に逮捕され、非法組織参加の罪で懲役10年の刑を課せられ、緑島の政治犯収容所で約10年にわたって服役させられた。李登輝学校研修団では何度も講師をつとめていただき、緑島にもご案内していただいた。このコロナが収まって李登輝学校研修団を再開できた暁には、改めて白色テロ時代の台湾についてお話しいただきたいと思っている。

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 台湾では二・二八事件が起きた1947年以降、戒厳令が敷かれ、蒋介石率いる国民党が反体制派に対して政治的弾圧を行った。国民に相互監視と密告が強制され、多くの人々が投獄、処刑されたのだ。40年も続いたこの時代は〈白色テロ時代〉と呼ばれ、1989年にホウ・シャオシェン監督が『悲情城市』で、1991年にエドワード・ヤン監督が『?嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』という傑作で描いているが、それ以降はその時代に向き合う映像作家は途切れていた。

 そこに旋風のごとく現れたのが、40以上ものVR短編作品が海外の映画祭に出品され、高く評価されたジョン・スー監督だ。台湾人が忘れてはならない負の歴史をストーリーに取り入れるという大胆な発想で大ヒットとなったホラー・ゲームを基に、迫害事件の謎解きと、自由と青春を奪われた若者たちの切ないドラマを交錯させて、2019年度台湾映画No.1大ヒットを記録し、第56回金馬奨12部門ノミネートと最優秀新人監督賞を含む最多5部門受賞を成し遂げた。

 ファン��ぢレイシンを演じるのは、14歳で小説家としてデビューしたという恐るべき才能を誇る、『全ては愛のため』のワン・ジン。ウェイ��ぢジョンティンには、莫大な応募数のオーディションを勝ち抜き、これが映画初出演となる期待の若手俳優ツォン��ぢジンファ。作品に込められた深いメッセージ性が昨年1月の台湾総統選挙にも影響を与えたと言われ、メディアやSNSで大騒動を巻き起こしたダーク・ミステリーが、いよいよ日本上陸を果たす!【映画「返校━言葉が消えた日」オフィシャルサイトより】

◆映画「返校━言葉が消えた日」オフィシャルサイト https://henko-movie.com/index.html#story

◆TOHOシネマズシャンテ https://www.tohotheater.jp/theater/081/access.html TEL:050-6868-5001

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