ズ JAPANデビュー 第一回 アジアの“一等国”」を視聴していた問題で、本会は関根
郁夫・埼玉県教育委員会教育長と東山修二・朝霞高校校長宛に、係争中の裁判資料を教材
とすることや担当教諭への対応について意見と要望書を提出していた。
昨12月20日、関根郁夫・埼玉県教育委員会教育長から本会の柚原正敬・事務局長宛に真
摯な内容の回答が届いた。
関根教育長はこの回答の中で「この番組を教材として使用したことについては、係争中
であるとの認識がなかったことを含め、配慮が足りなかった」ことを認め、また「後藤新
平や八田與一など台湾の近代化に寄与した我が国の先人たちの功績について紹介する」授
業を実施させたとも回答してきている。回答の全文を下記に紹介したい。
東日本大震災をきっかけに、高校生たちが「台湾に感謝したい」と自発的に台湾修学旅
行を希望するケースが多くなってきている。台湾修学旅行は、台湾や日台関係について知
るもっともいい機会だ。
このような機会を利用して自虐史観を生徒に刷り込もうとする教師が出てくることも当
然予想されたが、まさか係争中の番組を視聴させるとは思いも寄らなかった。これは常識
外のことであり、学習指導要領に悖(もと)る「悪用」だ。
朝霞高校の担当教諭には、今後とも埼玉県教育委員会からの適切な指導を望むととも
に、迅速に回答していただいたことに、この場を借りて深く感謝申し上げたい。
台湾への修学旅行は自治体の姉妹提携と同じように、トップの指導力に左右されること
が多い。台湾修学旅行を実施している高校では、校長自ら訪台して交流高校と折衝したり
訪問先を下見するなどし、教材選択も指導しているケースが少なくない。朝霞高校の東山
修二校長からの回答はまだ届いていないが、真摯な回答を待ち望みたい。
埼玉県立朝霞高校・台湾修学旅行の事前研修教材について
柚原様のお問い合わせに、ご回答申し上げます。
朝霞高校では、平成24年12月の修学旅行(2年生)に向けて、1年生の時から様々な事前
学習を実施しており、この番組の視聴はその一環として行いました。
この番組の視聴の他に、1年生の遠足として、横浜の中華学院を訪問し、2年生の夏休み
には、日本と台湾の文化・民族・芸能・自然などについて、比較紹介する壁新聞を一人一
人が作成するなど、日台の生徒同士の交流や日台への理解を深めるための活動などを行っ
ております。
県教委委員会では、生徒が多面的・多角的に考察し、主体的に判断できる力を身につけ
られるよう、教員がバランスのよい授業を展開していくことが肝要であると考えています。
そういった点で、この番組を教材として使用したことについては、係争中であるとの認
識がなかったことを含め、配慮が足りなかったと考えております。
そこで、県教育委員会としては、校長を通して当該教員を指導し、生徒に対して再度授
業を実施させております。
その中では、後藤新平や八田與一など台湾の近代化に寄与した我が国の先人たちの功績
について紹介するなど、生徒が多面的・多角的に考察し、主体的に判断できるよう指導し
ております。
県教育委員会としては、当該校ばかりでなく、すべての学校において、今回ご指摘をい
ただいたようなことが起こらないように、適切に対処してまいります。
本県では、これまで7校の県立高校が台湾への修学旅行を実施しているほか、今年度5校
の県立高校で台湾からの修学旅行を受け入れ、生徒同士の交流を図っております。
今後とも、こうした生徒同士の交流を通して、日台友好の取組を推進してまいりますの
で、ご理解、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
平成25年12月20日
柚原 正敬 様
埼玉県教育委員会教育長 関根 郁夫