米中急逝した「台湾の松下幸之助」といわれた王永慶氏が創業し、総資産・総売上高・従業員数な
どで首位を維持し続けているというコングロマリット(複合企業)。
このほど、グループ傘下の台湾プラスチック(台湾塑膠工業)が中国では供給過剰が慢性化して
いるので中国依存を大幅に引き下げ、インド、トルコ、インドネシア、ベトナムなど急成長を続け
る国での販売に力を注ぐと発表した。
蔡英文総統は5月20日の総統就任演説で、経済構造の転換をはかるため「過去の単一市場に過度
に依頼していた現象に別れを告げる」として新南向政策を採ると宣言し、現在、東南アジア、南ア
ジア、オーストラリア、ニュージーランドなどの国々と互恵互助の協力関係を強化しつつある。
台湾プラスチックの中国依存の大幅引き下げとインド、トルコ、インドネシア、ベトナムなどへ
の方向転換は、蔡英文政権が進めつつある新南向政策を推し進めるうえで強力なエンジンとなるだ
ろう。日本経済新聞の記事をご紹介したい。
台湾プラスチック、インド・東南ア開拓 中国依存度を低減
【日本経済新聞:2016年10月12日】
林健男董事長はインド、東南アジア、中東、アフリカでの市場開拓に積極的に取り組む方針だと
語った。「中国では供給過剰が慢性化しており、中国依存を大幅に引き下げる」と述べた。
林董事長は「中国のほかにインド、トルコ、インドネシア、ベトナムなど急成長を続ける国での
販売に力を注ぐ」と述べた。
同グループの売上高全体に占める中国の売上高の寄与率は昨年1〜9月に26.5%だったが、今年1
〜9月は約23%へと低下した。来年の寄与率は20%を下回る見通しだという。
台湾プラスチックは台塑石化、台湾化学繊維、南亜塑膠工業などとともに、台湾最大の工業複合
企業、台湾プラスチック・グループ傘下の上場会社。
同グループ子会社のフォルモサ・ハティン・スティールは今年4月にベトナムで水質汚染によっ
て大量の魚を死滅させる問題を引き起こし、このほどベトナム当局に5億ドル(約517億円)の罰金
を支払った。林氏は、この事件がベトナムでの販売計画に影響を及ぼすことはないだろうと自信を
みせた。
同社の今年1〜9月の売上高は前年同期比11%減の1297億2000万台湾ドル(約4240億円)。純利益
は9%増の273億3000万台湾ドルだった。
台北の元大証券投資顧問によると、台湾プラスチックの中国以外の市場での事業の中ではインド
での塩化ビニールの売り上げ増加が目立っている。塩化ビニールは様々な消費財に使われ、インド
での需要は中国を上回る伸びをみせている。(台北=鄭婷方)