行政院主計総処が7月23日に発表した「人力資源調?統計結果」によれば、6月の失業率は3.7%で、前月の3.63%から0.07ポイント上昇したものの、昨年6月の3.74%を下回っている。
海外の失業率に目を転じてみれば、フランス9.2%(5 月)、カナダ6.0%(6 月)、イギリス4.1%(3 月)、アメリカ4.0%(6月)、韓国4.0%(5 月)、ドイツ3.4%(5 月)、香港2.8%(5 月)、日本2.2%(5 月)、シンガポール2.0%(人力資源調?統計結果)で、欧米の先進国より低い。
ましてや馬英九政権時代は4%を切ったことはなかったから、蔡英文政権の雇用対策は順調に進んでいると言っていい。
驚いたのは、日本の失業率に関するニュースだ。総務省が7月31日に6月の「労働力調査」を発表したことを受け、報道では「失業率2.4%に悪化」という見出しが並んだ。
この見出しに騙されてはいけない。時事通信の記事では、0.2ポイント上昇した理由について「賃金の上昇などを受け、より良い条件の仕事を探して離職する人が増えたため」と報じている。
また、有効求人倍率も上昇しているのだが、このことについて「6月の有効求人倍率は、0.02ポイント上昇の1.62倍だった。上昇は2カ月連続。自動車などの生産が好調な製造業や、人手不足の建設業、医療・介護を中心に新たな求人が増え、1974年1月(1.64倍)以来の高水準が続く」(時事通信)と伝えている。
それなら「有効求人倍率、44年ぶりの高水準」をメインの見出しにしてもらいたいものだ。それに、日本の失業率は世界的にかなりの低水準にあることも伝えてもらいたいものだ。
フランス、カナダ、イギリス、米国、ドイツなどと比較すれば、いかに安倍政権の雇用対策が順調か一目瞭然なのだが、メディアは政府に関しては底意地の悪い見出しをつけたがるのが常だ。
台湾の蔡英文政権も安倍政権と似たようなところがある。蔡総統の支持率(満足度)の低さばかりが取り上げられる傾向があり、低い低いと報道されると本当に低くなるのが支持率のようだ。一時期の安倍政権とよく似ている。
————————————————————————————-台湾経済、4〜6月期は前年同期比3.29%成長 米中貿易戦争で先行き不透明【日本経済新聞:2018年7月31日】
【台北=伊原健作】台湾の行政院(内閣)主計総処(総務省統計局に相当)が31日に発表した2018年4〜6月期の実質域内総生産(GDP、速報値)の前年同期比の伸び率は、3.29%だった。輸出が好調で、5月時点の予想を0.21ポイント上回った。だが、米中貿易戦争の影響を回避するため一部企業は投資を手控える動きもみせ、先行きに不透明感も出ている。
1〜3月期は前年同期比で3.02%の伸びだったので、4〜6月期は成長が加速した。前期比年率(季節調整済み)の成長率は3.08%だった。
台湾当局は潜在成長率を「非公表」とするが、台湾メディアによると13〜16年は3%弱。台湾経済はほぼ巡航速度で成長しているとみられる。
4〜6月期の輸出は前年同期比5.99%増で、予想をやや上回った。台湾はスマートフォン(スマホ)やサーバーなどの生産を担うIT(情報技術)企業が集積しており、半導体や機械などの輸出が伸びた。輸出の約4割を占める中国大陸(香港含む)向けが14.1%増え、米国向けも7.3%増だった。
内需も底堅かった。企業や公務員の賃上げで消費意欲が上向き、民間消費は2.65%増となった。防衛関連の予算執行により、政府消費が5.85%増と大幅に伸びたことも寄与した。
一方、設備投資を含む資本形成は2.35%減少した。大手シンクタンク、台湾経済研究院の孫明徳・主任は「米中貿易戦争の拡大への警戒が強まっている」とし、企業で投資の手控えの動きが出ていると指摘する。
スマホなど台湾企業が中国で生産を担う最終製品はいまのところ、米の追加関税の対象外だ。だが業界では「追加関税の対象は今後も広がる」(部品企業首脳)との見方が強く、今後のIT景気の変調に備え始めた。
行政院は18年の通年の前年比成長率を2.6%と見込む。17年の2.89%を下回る水準だ。米中貿易戦争とは関係なく下期(7〜12月)は台湾からの輸出の減速を見込む。8月後半に改めて年間見通しを発表する予定で、貿易戦争の影響をどう織り込むかが焦点だ。