中台関係が重要局面を迎えつつある。昨秋の三通(中台の通信、通商、通航の直通化)
実現に続き、双方で包括的経済協定を結ぼうとの動きが強まっているからだ。経済の一体
化を通じ中台統一を果たそうとの共産党政権の戦略が、世界不況下で孤立感を深める馬英
九政権のもとで前進する気配をみせている。日米が台湾の政治、経済面での国際参加を支
援しなければ、台湾はいずれ中国に併呑(へいどん)されることになりかねない。
「台湾の大陸(中国)輸出は全体の4割を超えている。来年、中国と東南アジア諸国連
合(ASEAN)の自由貿易協定が本格発効すれば、(協定から締め出された)台湾は11
万4000人の職を失い、経済成長率はさらに1%低下する」−馬英九総統は先月末の記者会
見で中台の経済協定締結の必要性をこう強調した。
世界不況で台湾の昨年第4四半期の国内総生産(GDP)はマイナス8・4%と、最大の
落ち込みを記録した。今年は政府見通しで2・9%、民間予測で5%以上のマイナスが見込
まれている。危機感を強めた馬政権は中国との経済協定締結の動きを加速し始めた。
中国・ASEANの協定発効で両地域間の関税が撤廃される一方、台湾の輸出には関税
(石化品、機械で6〜8%)がかかる。台湾企業はこの障壁を逃れるため両地域への工場
移転を強めるだろうし、外国企業の台湾投資も減る。
そのダメージの見積もりが、先の馬総統発言だ。日韓も2012年前後にはASEANと中
国並みの自由化を進める予定なだけに、政府の危機感には十分な理由がある。しかし野党
の民進党や台湾団結連盟は「中国との包括的経済協定締結は中台統一につながる」と強く
反対している。
その懸念ももっともなのは、中国の台湾政策のほとんどは統一を実現するための手段で
あるからだ。胡錦濤国家主席は昨年末の6項目提案で、台湾との経済協力強化の取り決め
締結や台湾の国際社会参加への協力を呼びかけた。
しかし胡主席はその条件として、台湾側が「一つの中国」の原則を固く守るよう求める
と同時に、香港やマカオのような「一国二制度」方式での「祖国統一」を実現することの
重要性を強調した。
台湾が中国の一部であることを宣言し、中台統一を受け入れれば(1)世界保健機関
(WHO)など国際機関への加盟に協力する(2)中台経済協定締結や台湾が諸外国と同
様の協定を結ぶことに反対しない−というわけだ。
馬政権はこれに対し「一つの中国」を認めても、「われわれの中国は(台湾の)中華民
国であって中華人民共和国ではない」。将来の中台統一は否定しないが、それは中国大陸
で「政治の民主、経済の自由、社会の公平、軍隊の国家化が実現後の交渉による」(国家
統一綱領)としている。
しかし馬政権がいくら声高に主張しても、世界に「中華民国こそが中国の正当な代表」
と認める国はほんのわずかだ。共産党政権が真の民主政治や軍隊の国家管理を実現する気
配はまったくない。
強大化した共産中国と民主台湾が対等の交渉をするのは、ますます困難になっている。
国際社会が現状に手をこまぬいていれば、台湾は望むと望まざるとにかかわらず中国主導
の統一を拒めなくなるだろう。日米は欧州連合(EU)とも連携し台湾との自由貿易協定
(FTA)締結を進め、台湾の国際社会参加を支援すべき時だ。 (台北支局長)
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